和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月16日(土)

にぎやかに御田植神事 田辺市の伊作田稲荷神社

張り子の牛や白装束の総代が田植えの様子を演じ、見物人を楽しませた「御田植神事」(5日、和歌山県田辺市稲成町で)
張り子の牛や白装束の総代が田植えの様子を演じ、見物人を楽しませた「御田植神事」(5日、和歌山県田辺市稲成町で)
 和歌山県田辺市稲成町の伊作田稲荷神社(栗山展季宮司)で5日、市指定無形民俗文化財の「御田植神事」があった。4年ぶりに総代らが田植えの様子を演じてみせ、集まった人を楽しませた。

 「オンダサン(御田祭)」ともいわれる神事。コロナ禍の影響で過去3年は総代役員ら関係者のみで営んでいたが、今年は通常通りの神事の形に戻った。社殿前に青竹を立て、縄を張って水田に見立てた場所を設けて営んだ。

 はじめに巫女(みこ)が豊年満作を祈願して、豊栄の舞を奉納。続いて、白装束姿の総代が「あぜ草刈り」や「あぜ塗り」「代かき」などの作業のまねをした。張り子の牛が登場し、牛と総代らのユーモラスなやりとりで見物人の笑いを誘った。

 稲成小学校の6年生7人は早乙女役を務め、かすりの着物に赤いたすきをかけ、田植えや稲刈りの作業を演じ、拍手が送られた。早乙女役の山本彩葉さんと中山優良さんは「緊張したけれど楽しかった。思い出になった」と笑顔だった。

 総代長の岡﨑明彦さん(69)は「行事は間が空くと忘れ、難しいところもあるが、年配の人に聞きながら予行練習もして本番を迎えた。天候にも恵まれ、ようやく通常通りの開催ができ、感謝している。また続けていきたい」と話した。