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2024年11月01日(金)

中学校「町で1校」に 串本町、統合再編で答申

答申書を潮﨑伸彦教育長(左)に渡す審議会の山本誠士会長=和歌山県串本町サンゴ台で
答申書を潮﨑伸彦教育長(左)に渡す審議会の山本誠士会長=和歌山県串本町サンゴ台で
 和歌山県の串本町教育委員会が小中学校の統合再編について諮問していた町教育環境整備審議会(山本誠士会長、10人)は27日、小学校は旧串本町エリア2校、旧古座町エリア1校、中学校は町全体で1校とすることが望ましいとする検討結果を、潮﨑伸彦教育長に答申した。統合の時期については「中期的・長期的な考えにのっとったものであり、早期の統合再編を求めるものではない」としている。


 同町内の小学校は現在9校(旧串本町エリア6校、旧古座町エリア3校)で、中学校は4校。町教委によると、住民基本台帳登録人口からの推計では、2022年8月1日現在519人の児童数は28年度には3割近く減の375人、生徒数は古座中学校(古座川町)に通っている生徒も含めて287人から1割余り減の254人になると見込んでいる。

 このような状況の中、町教委は、2町合併後に小中学校の統合再編について検討した2006年の審議会の答申から年数が経過したため、新たに方向性を検討してもらいたいと審議会を設置して諮問。審議会では昨年10月から計5回会議を開くなどして議論を重ねていた。

 今回の答申は、小学校の統合再編について具体的な学校名は示さなかったが「今後の児童数の推移状況を鑑みれば、将来的に旧串本町エリアにおいては2校、旧古座町エリアにおいては1校とすることが望ましい」とした。

 「町全体で1校とすることが望ましい」とした中学校については「小学校からの集団がそのまま持ち上がる体制よりも、子どもたちの成長期における新たな出会いや気付きによる、さらなる社会性・人間性の向上を目指すことに重点を置くべきだ」と説明。また、串本町から古座中に通っている生徒も多いため「古座川町教育委員会とも十分な協議を行う必要がある」と指摘した。

 答申を受け取った潮﨑教育長は「一定の方向性を示してくださったので、われわれも答申をもとに今後の学校の統合再編を考えていきたい。答申にもあるように、地域の皆さま、子どもたち、保護者の皆さまのご意見を聞きながら進めていくことが大事だと思っている」と述べた。

 山本会長は「審議会の10人は地域や学校に深い関わりを持っている人の集まりで、地域に学校を残してほしいという気持ちはものすごく強いが、それ以上に、今の子どもたちや社会状況を広く見て、子どもたちをどういう環境で学ばせるのがベストなのかというのを常に考えながら会議を重ねることができた」と話していた。

 串本町では現在、26年度の開校を目指し、低地にある串本小学校(串本町串本)と橋杭小学校(同)を統合し、町道サンゴ台中央線沿いの高台に新しい小学校を造る計画を進めている。