和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

「なしが基本」だけれど 卒業式でマスクどうする

和歌山県内の公立小中高の卒業予定者数
和歌山県内の公立小中高の卒業予定者数
 文部科学省が今春の学校の卒業式で「マスクを着用せずに出席するのが基本」との方針を示しているが、最終的な対応は学校に委ねられている。高校入試を控える中学校では、戸惑いの声も上がっている。


 文科省の方針では、児童生徒と教職員は式全体を通じて「マスクなし」で差し支えないとしている。ただし、合唱の際はマスク着用などの対策を求めている。来賓や保護者は「マスク着用」だが、参加人数の制限は不要としている。

 和歌山県紀南地方の大半の中学校では、卒業式2日後に入試がある。田辺市教育委員会は各学校長への通知で、中学校のみ「在校生の参加については、マスクの着用を求める」と文科省の通知にはない独自の方針を加えた。

 市内のある中学校長は「方針に沿い、3年生には入場時や証書の受取時にはマスクを外し、合唱時は着用してもらう。ただ、式を通じて外したくない生徒もいるだろうから、配慮ある声かけが必要だと教員間で話し合っている」と話す。

 教員も選択を迫られている。市内の別の中学校長はマスクを外して臨むつもり。ただ、文科省の方針で「外しても差し支えない」とされる卒業証書授与では「近くで卒業生と対面する。万一の可能性もある」と着用すべきか決め切れていないと打ち明ける。

 別の中学校長は、積極的に外そうとは呼びかけていない。「コロナ禍の式ではマスク着用を求めていたが、今年はその文言を外した。あとは各自の判断」としている。自身はマスクを着用して臨む予定。出席者と距離が取れる式辞では外すが、卒業証書授与では着用するという。

 学校の規模によっても対応は異なる。3年生が1学級のある中学校では「マスクを外すことが基本」と伝えており、校長も着用しないつもりだ。「生徒の反応はまだ分からないが、ほとんどが小学校時代からの仲間で、外すことの恥ずかしさはないはず」とみている。

 市内の中学3年生からは「入試が気になるのでマスクは着用する」「今までずっと着用してきて、卒業式だけ外していいと言われても戸惑う」「みんな、なかなか外せないと思う。結局卒業アルバムで初めて素顔を知る同級生も出てくるはず」といった声があった。