和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

「移民の父」紙芝居で紹介 みなべの小学校回る

紙芝居などを使って児童に松原安太郎さんやブラジルについて紹介する岩本恵子さん(左)と出口征子さん=和歌山県みなべ町土井で
紙芝居などを使って児童に松原安太郎さんやブラジルについて紹介する岩本恵子さん(左)と出口征子さん=和歌山県みなべ町土井で
 和歌山県みなべ町東岩代出身で「戦後ブラジル移民の父」と呼ばれる松原安太郎さん(1892~1961)の生誕130周年記念顕彰事業実行委員会のメンバーが、同町の小学校を回り、紙芝居などで松原さんの功績やブラジルについて紹介している。昨年に続いての顕彰活動の一環で、もっと町内外で広めたいという。


 実行委は、松原さんの生誕130周年に当たる昨年、各地で出前講座や講演会、パネル展などを開いた。

 紙芝居は、町内の女性4人でつくる絵手紙サークル「ピカソグループ」が物語を考え、絵も描いた作品で、タイトルは「移民の父 松原安太郎物語」(画用紙16枚)。昨年11月には、サークルのメンバーが、松原さんの母校である岩代小学校(みなべ町西岩代)で披露した。

 今年になり、岩代地域だけでなく、町内全域の子どもたちにも知ってもらおうと、実行委のメンバーが1月末から、他の4小学校にも出向いている。

 紙芝居を担当しているのは出口征子さん(64)=みなべ町東岩代=で、実行委の共同代表、岩本恵子さん(66)=同町晩稲=と一緒に訪れている。

 高城小学校(同町土井)では5、6年生14人を対象に紙芝居などをした。出口さんは紙芝居で、松原さんがブラジルに渡って大農場主となり、日本人の移住を実現させた功績とともに、ブラジルは国花である「イペー」の他、サッカーやサンバで知られることを紹介。農場では86家族が暮らし、小学校や飛行場もあり、広さは白浜町のアドベンチャーワールドの6倍あることも話題にした。「ブラジルについては本などで調べた。みんなも興味のある国を図書館で調べてみて」と呼びかけた。

 岩本さんは松原さんの生涯や業績とともに、地球儀を使うなどしてブラジルについて説明。「松原さんは日本とブラジルの架け橋になってくれた偉大な人。みんなにも、外国の人と交流して夢や希望を持ってもらいたい」と語った。今年は和歌山県人会世界大会が予定されており、みなべ町にも日系ブラジル人が訪れることも紹介した。

 6年生の西空心さん(12)は「(移民が)自分たちで何カ月もかけて道路を造ったのは、大変だっただろうと驚いた。コーヒー豆の栽培で生活していたことにも興味を持った。国のスケールが大きく、すごいなと思った」と話していた。

 実行委は、4日に和歌山市の和歌山ビッグ愛であった国際交流センター主催のイベントに講師として招かれ、松原さんについて紹介した。今後も各地から希望があれば出向きたいという。