和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月20日(金)

別れ惜しむファンの列 2月中国へ、白浜のパンダ3頭

中国へ旅立つ「永明」を観覧する客(上)と、旅立つパンダを見ようと並ぶ客の列=20日、和歌山県白浜町で
中国へ旅立つ「永明」を観覧する客(上)と、旅立つパンダを見ようと並ぶ客の列=20日、和歌山県白浜町で
旅立つパンダを見ようと並ぶ客の列
旅立つパンダを見ようと並ぶ客の列
 和歌山県白浜町のレジャー施設「アドベンチャーワールド」で暮らすジャイアントパンダ7頭のうち3頭が2月22日、中国へ旅立つ予定だ。施設には連日、全国各地から別れを惜しむパンダファンが訪れている。


 繁殖研究などのために中国四川省の成都ジャイアントパンダ繁育研究基地へ旅立つのは、「永明(えいめい)」(雄30歳)と双子の「桜浜(おうひん)」「桃浜(とうひん)」(ともに雌8歳)。トラックで関西空港(大阪府泉佐野市)まで運び、チャーター便で中国へ旅立つ予定。

 施設は、中国へ旅立つ前日の夕方、歓送セレモニーを開く計画。内容はまだ決めていないが、オンラインでの配信も予定しているという。 

 旅立ちに向けて3頭は19日から、健康状態を確認する検疫期間に入っている。ただ桃浜は発情兆候が認められたとして、21日から公開を一時休止すると発表した。


■観覧40人ずつ

 観覧場所の屋内運動場の入り口には、3頭の写真と「ありがとう!いってらっしゃい!」と書かれた看板が設置されている。旅立ちの日までは、安全で円滑に見てもらうために客を40人ずつに分け、1頭につき3分間の観覧としている。観覧は何度でもできる。

 20日に施設を訪れたパンダファン歴20年以上という奈良市の50代女性は「ここ2年間は、ほぼ毎週パンダを見に来ている。桜浜と桃浜はそろそろ中国へ移されると思っていたが、永明は帰ると思っていなかったので驚いた。寂しいけど、中国でも元気に過ごしてほしい」と話していた。

 永明は、中国・北京動物園で1992年9月14日に誕生し、中国との共同繁殖研究のため94年9月6日に来園。これまで3頭の雌「蓉浜(ようひん)」「梅梅(めいめい)」「良浜(らうひん)」をパートナーとし、「梅梅」「良浜」との間に計16頭の子が誕生した。一般的な雄の繁殖年齢が20歳までといわれる中、28歳の時に自然交配で繁殖に成功。「現在の飼育下で自然交配し、繁殖した世界最高齢のジャイアントパンダ」となっている。

 施設ではこれまで永明の子ども11頭が中国へ旅立っており、そのうち4頭が繁殖に成功し、20頭以上の子孫を残している。パンダの保全、継続的な日中共同繁殖研究の計画に基づき、中国へ帰国する。

 桜浜と桃浜は、アドベンチャーワールドで2014年12月2日に誕生。父は永明、母は「良浜」(22歳)。双子は性が成熟する年齢に達しており、今後中国でパートナーを探し繁殖を目指す。

 3頭が旅立った後、施設に残るパンダは、「良浜」、「結浜(ゆいひん)」(6歳)、「彩浜(さいひん)」(4歳)、「楓浜(ふうひん)」(2歳)の4頭。いずれも雌。