和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月24日(火)

防災やロケットで振興も 串本町と和歌山大が包括協定

連携協力の包括協定に署名した串本町の田嶋勝正町長(前列左)と和歌山大学の伊東千尋学長(前列右)ら関係者=19日、和歌山県串本町サンゴ台で
連携協力の包括協定に署名した串本町の田嶋勝正町長(前列左)と和歌山大学の伊東千尋学長(前列右)ら関係者=19日、和歌山県串本町サンゴ台で
 和歌山県串本町と和歌山大学は19日、地域社会の発展と学術の振興に貢献することを目的とした連携協力についての包括協定を結んだ。これまでは教員が個別に協力してきたが、近い将来の発生が懸念される大規模地震や町内にできた民間小型ロケット発射場をきっかけとした地域・観光振興といった課題がある中、協定によって組織的・継続的な関係に強化。同町が大学と包括協定を結ぶのは今回が初めてという。


 同町と和大では、これまでも大学教員が防災や生涯学習などの分野で関わるなどして連携協力してきたが、南海トラフを震源とする大規模地震の発生リスクが高まることに伴う対策や打ち上がるロケットを活用した地域・観光振興、新産業創出といった課題に対応するため、町は「『持続可能な串本町』の実現には、大学の知的・人的資源と連携を図る取り組みが大きな力を発揮する」と判断。地域との連携に力を入れている和大と協定を結ぶことになったという。

 今後、協定に基づいて幅広い分野で連携を進めていくが、当面は主に防災や次世代人材育成、教育などの面で連携する。また、同町西向にある旧古座分庁舎2階に設けられた「古座サテライトオフィス」のコワーキングスペースを、教員や学生がフィールドワークをする際などの活動拠点として活用することも計画している。

 協定の調印式が同町サンゴ台の町役場であり、田嶋勝正町長と和大の伊東千尋学長が協定書に署名。田嶋町長は「以前からいろいろな分野で尽力と協力を頂いているが、改めて調印式を行うことで本当に心強く感じる。高速道路があと2年余りで開通し、ロケットの関係もある一方、南海トラフの巨大地震がいつ起こるか分からないなど、良い材料、つらい材料もある中で、行政として継続して町を運営するためにはクリアしなければならない問題がたくさんある。先生方の力をお借りすることで問題点を解決していきたい」と感謝した。

 伊東学長も「串本町はこれから先の可能性を持っている町だが、南海トラフの地震があるので対策をしっかり取らないと、せっかくの可能性が台無しになってしまう。今の社会をきっちりと守っていく活動の先に、可能性のある未来に向けて大学の力を使っていただければありがたい。足並みをそろえて活動をしていければ」と抱負を述べた。和大が同様の協定を県内の自治体と結ぶのは、今回で7例目という。