和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

議案書を紙からデータに 和歌山県議会、来年6月から試行検討

和歌山県庁
和歌山県庁
 和歌山県議会は、費用削減や職員の事務効率化を目的に「ペーパーレス」の取り組みを検討している。議員全員(定員42人)にタブレット端末を貸与し、これまで紙で配布していた議案書などの資料を画面上で確認できるようにする。来年の6月定例会から試行的に導入したいという。


 この取り組みは議会が昨年から検討してきた。システムや無線通信できるWi―Fi(ワイファイ)の整備費、端末購入費など約2800万円は本年度の当初予算に計上している。

 議員は端末を利用し、システム内に保存されている議案などのデータを閲覧できる。これにより、紙や印刷の費用削減、資源の保護につなげたいという。職員の事務作業についても、印刷や配布の負担がなくなるほか、修正時の差し替えの手間も軽くなることが期待される。

 ただ、混乱を避けるため、当面は紙資料との併用を予定している。県議会事務局によると、全国の都道府県議会でもペーパーレス化が進んでいるという。

■燃料高騰対策費など可決 12月定例会が閉会


 県議会12月定例会は15日、議員提出議案2件を含む31議案を可決して閉会した。

 幼稚園送迎バスの子ども置き去り防止や燃料費高騰の対策、道路改良、全国旅行支援などの費用計420億6600万円を増額する一般会計補正予算案、上富田町の南紀支援学校とはまゆう支援学校が来年4月に統合する条例改正案などが可決された。

 議員提出議案はこの日に提案され、即日可決された。一つは議員が新型コロナウイルスで自宅待機を余儀なくされたときや、災害などでやむを得ない場合、リモートで委員会に出席できるよう、県議会委員会条例を改める議案。委員会室にはモニターを設置、議員は「ペーパーレス」の取り組みに伴って貸与予定のタブレット端末を利用して出席できる。

 もう1件は、法律改正に伴い、県議会の個人情報保護条例を設ける議案。

 意見書は提案された7件のうち、北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を求めるもの、自動車の走行距離課税の導入反対についてなど4件を可決した。

 最後に、この議会が最後になった仁坂吉伸知事が、宇治田栄蔵議員(自民、和歌山市)からの送別の言葉に応え「この16年間、県政を取り戻そうと一心不乱に働いてきた。私の知事時代の実績の全ては、県庁職員と県議会の合作。岸本新知事と県庁を温かくご指導いただきたい」と述べると、議員から惜しみない拍手が送られた。