和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

旅するチョウの飛来地見学 香港から上富田と串本へ

「アサギマダラの丘」の説明を聞く邱榮光さん(左から2人目)。右端はDarumaCLUBの吉田耕司代表。左隣は金澤至さん=和歌山県上富田町市ノ瀬で
「アサギマダラの丘」の説明を聞く邱榮光さん(左から2人目)。右端はDarumaCLUBの吉田耕司代表。左隣は金澤至さん=和歌山県上富田町市ノ瀬で
 香港で鳳園バタフライパークを運営している邱榮光(ヤウ・ウィン・クォン)さんが、「旅するチョウ」と呼ばれるアサギマダラの飛来地を見学しようと、和歌山県上富田町にある「アサギマダラの丘」と「フジバカマ園」、串本町潮岬を訪れた。潮岬では羽に捕獲した日や場所などを記す「マーキング」もした。


 邱さんは度々来日しているが、アサギマダラが吸蜜の際に好むフジバカマだけを植えた畑を見学するのは初めて。親交がある「アサギマダラの会」(大阪府枚方市)の金澤至副会長が同行して案内した。

 上富田町市ノ瀬にある「アサギマダラの丘」では、畑を管理する「Daruma CLUB」代表の吉田耕司さんから近況などを聴いた。吉田さんは「飛来は10月末が最も多く、100匹以上が舞った。広く見学してもらい、イベントも開催している」などと説明した。

 邱さんはバタフライパークについて「多種類のチョウを飼育し、植えている植物の種類も多い。自然教育にも役立てている」などと説明。「アサギマダラの丘」については「とてもきれいで環境教育にもなっている。香港ではここのような単一植物だけの畑はないが、パークでも似た取り組みを考えたい」と話した。

 また、串本町では2泊し、潮岬灯台の周辺でアサギマダラを観察。邱さんは5匹にマーキングした。同町や古座川町のジオサイトも見学した。

 アサギマダラの会は全国に約150人の会員がおり、金澤さんは約40年にわたってこのチョウの生態などを研究している。

 2011年に日高町でマーキングされた1匹が香港で捕獲され、金澤さんが香港を訪問。この時、邱さんと知り合った。

 金澤さんによると、日本でマーキングされたアサギマダラの香港での捕獲例は過去20年間で2回(匹)という。