和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

事前復興計画策定へ みなべ町が第2回ワークショップ

被災後のまちづくりについて考える住民(10日、和歌山県みなべ町芝で)
被災後のまちづくりについて考える住民(10日、和歌山県みなべ町芝で)
 近い将来に発生が予想されている巨大地震に対応する「事前復興計画」の策定に向け、和歌山県みなべ町は7~10日、住民を対象にした第2回ワークショップを同町芝の町役場で開いた。津波被害が予想される南部、岩代、上南部地域の計17区の住民が参加し、被災後はどこに住むかなど復興のまちづくりのイメージを考えた。


 事前復興計画とは、巨大地震の被害を受けた後にいち早く復興やまちづくりをするために、地震が起こる前に考えておく計画。町は本年度中の策定を目指しており、各地区の自主防災会や各団体の代表で組織する検討委員会が計画内容を検討している。ワークショップは、住民に計画の目的を理解してもらい、復興の際のまちづくりについて意見を出してもらうために開いている。第1回は8月上旬に開き、最終の第3回は12月に予定している。

 第2回も第1回と同様、17区の住民が4日間に分かれて参加した。いずれも、第1回で意見を出し合った「地区で残しておくべき財産」や「地区での課題」について確認。参考にしてもらうためにコンサルタント業者が、東日本大震災の被災地で復興のために取り組みが行われた、盛り土によるかさ上げ再建▽高台に移転し新しい市街地整備▽かさ上げし高台にも移転―の各事例を紹介した。

 その後、3班に分かれてグループワークをした。津波浸水想定区域を確認した上で「被災後に自分はどこに住むべきなのか」「どのようなまちづくりをするのか」といったことを紙に書き出した。

 10日にあったワークショップには徳蔵、筋、東吉田、新庄4区の住民計22人が参加した。被災後に住む場所については「近くの高台」を求める意見が多かったが「元の場所をかさ上げして住む」という意見もあった。

 まちづくりについては、「農地はそのままの場所に整備し、線路や高速道路は高くする」といった意見が出た。「防潮堤を造る」という意見もあった。

 検討委員会委員長の和歌山大学システム工学部准教授、平田隆行さんはワークショップを振り返り「震災をきっかけに、まちをつくり変えることもできる。今すぐでなく、20年、30年先を見て考えればいい。みなべは豊かな農村だと思う。歴史や文化、自然も豊かで、それらを生かし産業と合わせて考えればいい。そうすればいい事前復興になる」と語った。