和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

関係自治体が組織つくり課題共有 紀勢線、新宮―白浜の利用低迷で

和歌山県白浜町以南の8市町村などが参加したJR紀勢線の新宮-白浜間の活性化策などを検討する部会の初会合(14日、和歌山県新宮市で)
和歌山県白浜町以南の8市町村などが参加したJR紀勢線の新宮-白浜間の活性化策などを検討する部会の初会合(14日、和歌山県新宮市で)
 JR西日本が紀勢線の和歌山県新宮―白浜間の利用や収支率が低いと公表したことに絡み、沿線などの8市町村や県、JR西、和歌山大学が、課題を共有するための組織をつくった。初会合が14日に新宮市であり、地域の現状や特性、ニーズを踏まえた取り組みを展開していきたいとの方針を示した。

 JR西によると、2019年度の新宮―白浜の輸送密度(1キロ当たりの1日平均利用者数)は1085人で、今年4月に2千人未満の区間として公表された。収支率は17~19年度の3年平均で19%。路線を運営するための経費に対し、5分の1以下しか収入がない。つまり列車を走らすごとに赤字が膨らむのが実態ということになる。

 8市町村などが設けたのは「新宮白浜区間部会」。県内24市町村でつくる「紀勢本線活性化促進協議会」(会長=田岡実千年新宮市長)内の組織という位置付けにした。

 初会合には、各市町村の副市長、副町長ら約30人が出席。JR西和歌山支社の松田彰久・副支社長から「大量輸送という鉄道の特性が十分に発揮できていないため、地域の役に十分には立てていない。今よりも利用しやすい最適な地域交通を地域とつくり上げていきたい」との意見を聞いた。

 和歌山大の西川一弘・准教授は「守るべきは目的地へ移動する手段」と指摘し、他の地方と連携して国に対して政策課題化などを求めていくべきだとの考えを述べた。

 部会は今後、定期的に開く方針。紀勢線は生活路線だけでなく観光路線という側面もあり、その双方について考えていくという。