和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月27日(金)

「世界」への推薦見送り 南紀熊野ジオパーク

ガイドが見守る中、日本ジオパーク委員会からの電話を受ける橋爪正樹事務局長(28日、和歌山県串本町潮岬で)
ガイドが見守る中、日本ジオパーク委員会からの電話を受ける橋爪正樹事務局長(28日、和歌山県串本町潮岬で)
 日本ジオパーク委員会は28日、「南紀熊野ジオパーク」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界ジオパーク」への国内推薦を見送ったと発表した。一方、4年に1度、審査する「日本ジオパーク」には再認定した。


 南紀熊野ジオパークは和歌山県の紀南9市町村と奈良県十津川村にある地質遺産(ジオサイト)などで構成。すさみ町の「フェニックス褶曲(しゅうきょく)」や串本町の「橋杭岩」、古座川町の「古座川の一枚岩」、那智勝浦町の「那智の滝」などジオサイトが107カ所あり、2014年8月に日本ジオパークに認定された。

 県や紀南の市町村、関係団体などでつくる南紀熊野ジオパーク推進協議会(会長=仁坂吉伸知事)は世界ジオパークを目指し、今年4月に日本ジオパーク委員会に初めて申請。委員会は8月に現地調査するなどして、推薦するかを審査していた。

 委員会が公表した審査結果によると「南紀熊野ジオパークセンター」(串本町潮岬)が開館し、地域やガイドの拠点になっていることや、最新の研究成果を反映したツアー実施などは評価された一方で「地質遺産の国際的価値の共有が不十分」「世界文化遺産、ラムサール条約登録湿地との相乗効果が生み出せていない」などの課題が指摘された。

 日本ジオパークは、46地域に上る。うち9地域が世界ジオパークに認定されている。

■「今後も取り組み進める」

 「南紀熊野ジオパークセンター」では28日午後4時10分、センターに詰めていた橋爪正樹・南紀熊野ジオパーク推進協議会事務局長(55)に、日本ジオパーク委員会の中田節也委員長から電話があった。

 橋爪事務局長は「また今後頑張りますので、よろしくお願いします」などと応えて電話を終え、見守っていた10人ほどのジオパークガイドに国内推薦が見送られたことを説明した。

 南紀熊野ジオパークガイドの会の伊藤幸子会長(74)=田辺市中辺路町近露=は「正直に言って少し残念で、少し助かったという気持ち。世界に打って出るためにはもう少し時間が要るのかなと思っていたので、次の機会を目指してガイドのみんなで頑張りたい」と話した。

 橋爪事務局長は「残念だが、もっともっと頑張れというメッセージだと前向きに捉え、活動を広げていきたい。もっと地域の人を巻き込んで盛り上げていかなければならないと感じている。今後も世界ジオパーク認定に向けた取り組みを進めていきたい」と話した。