和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月19日(火)

赤壺の渓谷美に感激 田辺ジオ研究会が自主研修

「赤壺」の赤みを帯びた岩肌を眺める田辺ジオパーク研究会の会員ら(和歌山県田辺市龍神村龍神で)
「赤壺」の赤みを帯びた岩肌を眺める田辺ジオパーク研究会の会員ら(和歌山県田辺市龍神村龍神で)
 和歌山県の田辺市や周辺の住民有志でつくる「田辺ジオパーク研究会」の会員ら7人がこのほど、同市龍神村龍神の小森谷渓谷にある「赤壺」を訪れた。平維盛の伝説が残る地質の見どころの一つで、会員らは赤みを帯びた岩や周辺の渓谷美に感激していた。

 地形や地質についての知識を深めるための自主研修として訪れた。会員で南紀熊野ジオパークガイドでもある地元の上森安さん(72)が案内役を務め、山道から渓谷までロープを使って斜面を下った。

 小森谷渓谷は海洋性の岩石と陸からの土砂が堆積してできた地層で、カラフルな色の岩が見られる。そのうち赤壺は、海洋性プランクトンである放散虫の遺骸でできた堆積岩「赤色チャート」により赤色になっている。海洋プレートの沈み込みで形成された岩石の集合体である「付加コンプレックス」のスラスト(逆断層)を観察できる場所でもあるという。

 ここはまた、源平合戦に敗れて落ち延びた平維盛と、その恋人だったという村娘「お万」との伝説が残る場所。維盛との恋がかなわず、お万が投身自殺をする際に化粧を流し、その紅によって岩が赤く染まったと伝わる。

 会員らは上森さんらの説明を聞いたり、資料を見たりしながら、渓谷を散策した。紀伊半島南部の土台をなす「付加体」の主要部は田辺市エリアに広がっており、上森さんらは「ここでは南紀熊野ジオパークのエリアとはまた違った貴重な地質を見ることができる。もっとPRしていきたい」。ジオパークについて学ぶ熊野高校のKumanoサポーターズリーダー部で顧問を務める上村桂さん(50)も参加し「龍神村は出身地でもある。鶴ケ城など歴史の見どころと共にPRできればと思う」と話していた。