和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

南紀熊野「世界」へ第一歩 ジオパークの現地調査開始

救馬渓観音のジオサイトを視察する日本ジオパーク委員会の中田節也委員長(手前)=7日、和歌山県上富田町生馬で
救馬渓観音のジオサイトを視察する日本ジオパーク委員会の中田節也委員長(手前)=7日、和歌山県上富田町生馬で
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパーク認定を目指す「南紀熊野ジオパーク」の現地調査が7日、始まった。4日間あり、日本ジオパーク委員会が世界認定の国内候補地としてユネスコへ推薦するかどうかを判断する。中田節也委員長(東京大学名誉教授)は「非常にいいものを持っている。しっかり審査したい」と話した。


 調査には中田委員長、田中裕一郎委員(産業技術総合研究所地質調査総合センター)、ヴォウォシェン・ヤゴダ委員(隠岐ジオパーク推進機構)が参加し、初日は上富田町の救馬渓観音や一瀬王子跡などを訪れた。

 救馬渓観音では熊野高校サポーターズリーダー部が、動画を交えて救馬渓観音のジオサイトとしての魅力や部の活動を紹介。森本眞弘住職がジオサイトを案内した。

 上富田町役場では審査の説明会があり、ジオパーク推進協議会会長の仁坂吉伸知事は「県には世界遺産の語り部の文化があり、ジオパークでもガイドの働きが大きな資産になっている。中高生対象にジオを研究する『探偵団』も始めた。こうした強みをアピールしたい」と意気込みを語った。

 中田委員長は「学術的にも非常に高い評価を得ている。ガイドの能力も高い。世界認定の条件がそろっているか十分確認したい」と述べた。

 南紀熊野ジオパークは、和歌山県の紀南9市町村と奈良県十津川村にある地質遺産で構成。2014年に「日本ジオパーク」に認定された。今回の現地調査は日本ジオパークとして4年に1度の再認定の審査も兼ねている。

 8日は「川舟」(新宮市熊野川町)や「筏(いかだ)下り」(北山村)を体験。9日は「那智の滝」(那智勝浦町)、「橋杭岩」(串本町)、10日は「フェニックス褶曲(しゅうきょく)」(すさみ町)などを見学する。

 国内推薦の可否は9月ごろに決定予定。推薦されれば、ユネスコの現地視察などを経て、早ければ25年に認定の可否が決まる見通し。