和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

新宮から戦争反対訴え ウクライナ出身の女性

「STOP WAR」と書いたウクライナ国旗を自宅に掲げる橋本ターニャさん(和歌山県新宮市で)
「STOP WAR」と書いたウクライナ国旗を自宅に掲げる橋本ターニャさん(和歌山県新宮市で)
 ロシアがウクライナへ侵攻を始めて、まもなく半年。和歌山県新宮市で暮らすウクライナ出身の橋本ターニャさん(46)は「一日も早く争いが終わり、家族らが普通の生活を送れるようになってほしい」と願う。自宅玄関には、青と黄色のフェルト生地を縫い合わせて「STOP WAR」と記した母国の国旗を掲げている。


 ウクライナ西部テルノーピリ州の出身。夫の敏さん(81)との結婚を機に来日して約20年になる。

 今回のロシアの侵攻については「(米国の)バイデン大統領が(侵攻以前から)可能性に言及していたから、ずっと心配だった。ひどいことが起きてしまった」と涙を浮かべる。

 ウクライナには両親、妹夫婦とその子ども2人の6人がいた。母と妹、おいの3人は3月14日にポーランドへ向かい、同29日にはイタリアへ避難した。連絡は取り合えているが「母が『夜も眠れない』と話したこともあった。きっとストレスも多いはず」と話し、心配は尽きない。

 郷里に残る父親には持病があり、病院へ通うが、ターニャさんに「以前はお年寄りが多かったが、最近は負傷した兵士ばかり。自分より若い人たちの苦しむ姿をもう見たくない」と語り、病院へ行きたがらなくなったという。

 ターニャさんは「9月から新年度で学校が始まるが、それもどうなるか。ウクライナでは今、安全な場所はない。子どもから大人まで、皆の人生が変わってしまった」と肩を落とす。

 自身が子どもの頃に、第2次世界大戦を体験した祖母から「戦争は怖い」とよく聞いていたことを思い出すという。「かつてユーゴスラビア紛争やシリア内戦のニュースを見た時は『かわいそう』『大変そう』と思ったけれど、私には関係ないとも思っていた。それなのに今、自分の国で戦争が起きている。本当に信じられない」

 母国を最後に訪れたのは2012年。以前は年に1回は帰っていたが、ロシアによるクリミア半島の併合などで、帰国の機会を逸している。「戦争が終わったら必ずウクライナへ行って、家族と直接会いたい」。そう言って、早期の収束を願っている。