和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

民家や道路に大きな被害 田辺市本宮町、盆時期の大雨で傷跡

のり面が崩落した市道の現場(和歌山県田辺市本宮町上切原で)
のり面が崩落した市道の現場(和歌山県田辺市本宮町上切原で)
音無川の増水で流失した橋(和歌山県田辺市本宮町本宮で)
音無川の増水で流失した橋(和歌山県田辺市本宮町本宮で)
 和歌山県田辺市本宮町で13~14日に降った大雨は、民家や道路に被害をもたらした。大雨の爪痕が残る現場を17日に訪ねた。

 「本当にすごい雨だった」。本宮町本宮の男性(80)は振り返る。14日未明、自宅横を通っている水路が詰まって水があふれ、自宅が床上浸水した。近くの集会所へ車で避難したが、不安で眠れなかったという。妻(73)は「大雨や台風の時はいつも(水路を)気にするが、こんなことは初めて」と話した。

 県によると、13日の降り始めから14日午後3時までの雨量が本宮町本宮で299ミリ、本宮町三越では300ミリを記録した。

 市は14日未明、夫妻が暮らす本宮町本宮の一部地区(20世帯30人)を対象に避難指示を発令。5世帯の計9人が避難した。

 地区のすぐそばを流れる音無川も大雨で増水。幅1メートルほどの地域住民らが使う橋(延長約20メートル)が、流木に押され、50メートルほど下流へ流された。

 本宮町上切原では、市道ののり面が30メートルにわたって崩れ、路面をふさいだ。市は通行止めにしているが、復旧の見通しは立っていない。

 この影響で、地区住民は幹線道路へ出るために迂回(うかい)を強いられている。谷口孝夫さん(83)は「距離にして1キロくらい、時間なら数分だと思うが、やっぱり不便。早く通れるようになるといいが、仕方ない」と語った。

 市によると、道路では他に本宮町皆地の市道、本宮町皆瀬川の林道も崩土や落石で通行止めになっている。皆地の市道では18日から復旧作業を始めた。

 国道168号と熊野本宮大社の旧社地・大斎原(おおゆのはら)を結ぶために音無川に架かる橋(延長約30メートル)も被災し、市は通行止めにした。大社によると、大斎原に被害はなかった。ただ、15日に大斎原で予定していた神事は、河川の増水で会場を境内に変更した。精霊舟は後日、熊野川へ流す。