和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月22日(日)

教員の負担軽減期待 部活動の地域移行、課題も山積

みなべ町―すさみ町の中学生は減少傾向
みなべ町―すさみ町の中学生は減少傾向
 公立中学校の運動部活動を地域に委ねるという提言をスポーツ庁の有識者会議がまとめたことについて、紀伊民報は、和歌山県の田辺・西牟婁とみなべの1市4町の教育委員会に見解を尋ねた。地域と学校の連携強化や教員の負担軽減につながるという期待の声がある一方、指導者の確保や保護者の負担増、大会運営の在り方に対する不安、課題も多く上がった。


 提言では、休日の部活動から段階的に地域に移行していく方向性を掲げている。2023~25年度を改革集中期間としている。

 各教委からは、期待する点として「生徒の選択肢の広がりにつながるのでは」「競技未経験の教員(顧問)の負担が減る」という意見もあった。

 課題を挙げてもらったところ、活動場所をどう確保するかや、教員と外部指導者の意識・価値観をいかに共有できるか、事故などが起きた場合の対応をどうするかという意見が出た。

 有識者会議が提言をまとめた背景には、少子化(生徒数の減少)がある。子どもたちが継続して親しめる運動の機会を確保しつつ、学校での働き方改革を進めたい狙いがある。

 提言は、学校や教委、地域スポーツクラブなど関係機関が話し合う場を設ける必要があるとしている。これに伴い、みなべ―すさみの5市町の教委では、協議会などを設けて検討することになるとみられる。


■上富田町は〝始動〟

 部活動改革に関連し、動き出しが早かったのは上富田町。町教委と総合型地域スポーツクラブ「くちくまのクラブ」(シーカ)、上富田中学校の3者が5月以降、現状と課題の洗い出しを進めている。

 少なくとも月に1回以上は顔を合わせて意見を交えていく方針。町教委では「一つずつでも、できるところから改革を進めて『上富田モデル』を構築したい」と話している。