和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月25日(月)

梅産業僕らも支える サンライズFCが収穫や選果

青梅を収穫する奥田宗幸さん(左)と竹中天都さん=上富田町岡で
青梅を収穫する奥田宗幸さん(左)と竹中天都さん=上富田町岡で
梅干しを水洗いする小池捺生さん(みなべ町晩稲で)
梅干しを水洗いする小池捺生さん(みなべ町晩稲で)
 梅の収穫が最盛期の紀南地方で、新しくできた社会人サッカークラブ「南紀オレンジサンライズFC」の選手やスタッフが人手不足の農家を手伝っている。普段から梅の関連会社で働く選手もおり、県外から移住した若者が地場産業とのつながりを強めている。


 チームの選手とスタッフは約30人。人手が足りない農家からの依頼があれば、土日曜などを中心に園地に派遣している。

 上富田町岡、谷本雅司さん(54)の梅園では今月初旬、選手の奥田宗幸さん(39)と竹中天都さん(22)が南高梅の収穫を手伝った。

 谷本さんは、サッカーをしながら人口減少など地域課題の解消を目指すチームの主旨に賛同。昨年秋から奥田さんらにミカンの収穫や枝拾いなどを手伝ってもらっている。

 奥田さんと竹中さんは朝から畑に出て、木に実った青梅を一つ一つ手で枝からもぎ取ったり、選果作業をしたりするなど終日働いた。

 谷本さんは「人手が欲しい時期なので大変ありがたい。スポーツ選手なので動きが良い」と喜んだ。

 福岡県出身の奥田さんは「いろいろな場所に移住して違う仕事をしてきたが、農業で成り立っている地域は初めて。皆さんが優しく受け入れてくれる」と、この地が気に入った様子だ。

 ゴールキーパーの小池捺生さん(19)は、みなべ町晩稲の岩本食品で4月から勤務し、梅干しの加工やパック詰めなど製造の仕事をしている。会社が投稿したインスタグラムにも登場した。

 岩本智良社長(40)は「少子高齢化が進む中、若い人材が来てくれてありがたい。会社の雰囲気が良くなり、応援のしがいがある」と話す。

 小池さんは「サッカーだけでなく、地域貢献の取り組みに興味があってこのチームを選んだ。今までは街中で暮らしていたので、農業や関係する企業の大変さが身に染みて分かる」と手応えを語った。

 このほか、サンライズFCの主将で、昨年からみなべ町内の梅農家で働いている竹川恭平さん(25)は今季、副業として自身で梅畑を管理し、青梅を販売している。

サッカーでも上目指す

 県社会人3部リーグに参入している南紀オレンジサンライズFCは、第33回県社会人サッカー連盟杯選手権大会に出場。12日、日高川町和佐の南山スポーツ公園であった1回戦で勝利した。

 大会は15チームが参加。サンライズFCは、1回戦でDAIMON FC(県1部)と対戦。1―1からのPK戦を3―2で制した。2回戦のFC LUDIQUE(県1部)との試合は19日午後3時半から、上富田町朝来の上富田スポーツセンターである。

 サンライズFCはこのほか、全国社会人サッカー選手権和歌山大会に出場したが、5月にあった1回戦でFC LUDIQUEに1―2で敗れている。