和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月23日(月)

田辺駅近くに4階建てホテル 市有地を民間活用

2023年度内に開業予定のホテルの完成イメージ
2023年度内に開業予定のホテルの完成イメージ
基本協定書に署名する真砂充敏市長(左)と田辺土地開発の米澤節代表取締役=30日、田辺市長室で
基本協定書に署名する真砂充敏市長(左)と田辺土地開発の米澤節代表取締役=30日、田辺市長室で
 和歌山県田辺市は30日、長年にわたり活用方法が課題となっていたJR紀伊田辺駅近くの市有地(高雄2丁目)について、同市新万の「田辺土地開発」(米澤節代表取締役)と基本協定を結んだ。同社が市から有償で土地を借り、4階建てのホテル(客室75)を整備、運営する。2023年度内に開業する予定。


 市有地は、駅北西側の線路沿いにある旧国鉄田辺駅宿舎跡地(約4千平方メートル)。市が30年近く前に購入し、駅前の再開発用地などとして活用を検討してきたがこれまで事業化に至らず、どう生かすかが長年の課題となっていた。

 民間の力を借りて中心市街地の活性化につなげようと、市が昨年9月に土地の活用方法についてアイデアを募集。田辺土地開発から提案があった「ホテル」案を採用した上で、改めて今年4月に実施事業者を公募していた。応募は同社のみだった。

 この日、協定の締結式が市長室であり、真砂充敏市長と米澤代表取締役が協定書に署名した。

 田辺土地開発は、市内で会計事務所を経営している米澤代表取締役が、事業への応募に向けて新たに設立した。米澤代表取締役は「ぜひとも地域の活性化に役立ちたいとの思いでホテル事業を提案した。駅や海岸にも近く、飲食店街『味光路』の活性化にも一役果たせると思う」と意気込みを語った。

 真砂市長は「中心市街地の活性化、公有財産の活用は市の大きな課題。民間の力を生かして地域の発展につながる好事例になることを期待している」と話した。

 計画では、ホテルは鉄筋コンクリート造り(延べ床面積約1970平方メートル)。外観には紀州材を使った格子を配置する。客室のほか、会合などで利用できる会議室も造る。屋上は津波避難場所としての利用も想定している。

 敷地内には憩いの広場を整備し、地元住民が祭りやバザーなど公園のような場所として利用できるようにしたいという。

 概算事業費は約10億円。土地の賃貸借料は不動産鑑定士による土地鑑定評価に基づき、年間約272万円。