和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

玄関水槽やデッキ改修 串本海中公園がリニューアルオープン

新しくなった玄関水槽を案内する水族館の森美枝館長(22日、和歌山県串本町有田で)
新しくなった玄関水槽を案内する水族館の森美枝館長(22日、和歌山県串本町有田で)
改修されたウミガメプールのデッキ
改修されたウミガメプールのデッキ
海に向かうアカウミガメを見送る子どもたち
海に向かうアカウミガメを見送る子どもたち
 和歌山県串本町有田の串本海中公園センター(鈴木一正代表取締役)は22日、水族館の玄関水槽やウミガメプールデッキなどの改修工事を行ったとしてリニューアルオープンセレモニーを開いた。水族館(森美枝館長)は昨年開業50周年の節目を迎えており、同センターは「本年より新たな一歩。豊かで美しい自然の海をこれからも守り伝えていきたい」としている。


 環境省の吉野熊野国立公園管理事務所(新宮市)によると、国立・国定公園の中に、優れた景観などを維持するための海域公園地区が指定されており、水族館前の海は1970年、串本海中公園として日本で最初の海中公園に指定。当初の区域は同町有田沖だけだったが、その後に大きく区域が広がっており、名称も法改正によって串本海域公園となっている。

 センターによると、この海の魅力を紹介するための施設として、1971年に水族館や海中展望塔などが開業した。

 玄関水槽は水族館入り口を入って最初に目に入る水槽だが、老朽化して水漏れも発生。幅約4メートル、水深約1メートル、奥行き約1・5メートルの水槽を造り直した。クシハダミドリイシといったサンゴを配置し、ルリスズメダイやデバスズメダイなど12種類約500匹の魚が泳いでおり、水族館前で見ることができる串本のサンゴの海を再現したという。

 さらに、95年に世界で初めて人工飼育下でのアカウミガメのふ化に成功するなど、水族館が繁殖に力を入れているウミガメのプールそばにあるデッキも改修。美しい串本の海とウミガメを眺めながら過ごすことができるスペースに仕上げた。また、施設外壁に波の模様を描くなどもしたという。

 セレモニーでは、串本海中公園センターを代表して、親会社である鈴木商会(東京都)の高橋正志専務取締役が「昨年50周年を迎え、私どもが経営を引き継いで17年が経過するが、今日まで続けて来られたのは串本の海が素晴らしく、愛してくれる方が訪れてくれたから。もっともっと素晴らしいものにして、串本の海の豊かさを守り、情報発信していきたい」とあいさつ。来賓として出席した平井治司副町長も「観光や学習の場だけでなく、サンゴの保全やウミガメの保護などに努めてこられ、日本、世界にとって非常に大切な施設。町では今年ロケットの打ち上げが始まり、2025年には高速道路の延伸も決定されており、人が集まる場として、ますます町にとって重要な施設となる」と祝った。

 セレモニー後には、水族館で生まれ育ったアカウミガメ2匹を、水族館前の海岸から放流。近くにある串本西小学校の子どもらがウミガメの旅立ちを見守った。