和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月21日(土)

上映の輪、和歌山県内でも ウクライナ舞台の「ひまわり」

田並劇場の前で映画「ひまわり」のポスターを持つ林澄蓮代表(和歌山県串本町田並で)
田並劇場の前で映画「ひまわり」のポスターを持つ林澄蓮代表(和歌山県串本町田並で)
 ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナを舞台にした名作映画「ひまわり」を上映する動きが全国各地で広がっており、和歌山県内でも10日、串本町田並のJR田並駅前にある田並劇場が緊急上映会を開くことを決めた。収益の一部は配給会社を通じてウクライナの人道支援のために寄付されるといい、田並劇場は「映画を通じ、戦禍で苦しむ人たちを少しでも支援できれば」と来場を呼び掛けている。

 「ひまわり」はイタリアを代表する俳優のソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが共演し、ヴィットリオ・デ・シーカが監督を務めた作品で、1970年に公開され、日本でも大ヒットを記録。第2次世界大戦によって引き裂かれた夫婦の姿を描いており、最も有名なシーンである広大なヒマワリ畑は旧ソ連時代のウクライナで撮影された。ヒマワリは同国を象徴する花としても知られる。

 今回上映するのは「ひまわり 50周年HDレストア版」(107分)。映画配給会社「アンプラグド」(東京都港区)によると、2020年に日本劇場公開50周年を記念し、同社が傷や汚れを取り除き、色味をオリジナル版に近づけるなどの修復をして再び全国公開した作品だ。

 2月24日にロシアがウクライナへの侵攻を始めたことを受け、この映画の公式ツイッターで映画に登場するヒマワリ畑がウクライナで撮影されたことや、一部の劇場に相談し上映が決まったことを紹介したところ、全国各地から問い合わせが相次ぎ、劇場だけでなく、自主上映も含めて約90カ所での上映が決定した。同社では、上映から得た収益の一部を今回の戦禍で被害を受けた人たちへの人道支援のための寄付に充てることも決めており、寄付先は日本赤十字社と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を予定しているという。

 配給会社の取り組みに賛同して上映を決めたという、田並劇場を運営する同劇場保存会の林澄蓮代表(42)は「1日だけの上映会だが、県内では今のところ田並劇場だけ。今を知るためにも過去の物語に触れることは大事で、映画を見ていただくことで遠い国の戦禍をより身近に感じていただけたら」と話している。

 上映は午前9時半からと午後2時から。入場料は大人1500円、高校生以下は無料。事前申し込みは不要。問い合わせは田並劇場(0735・70・1046)か、林代表宅(0735・66・0557)へ。