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2024年12月23日(月)

猪鹿蝶の看板で衝突事故半減 国道42号、設置の建設会社に感謝状

串本署の泉政勝署長(右)から感謝状を受け取る宮本龍一さん=和歌山県串本町串本で
串本署の泉政勝署長(右)から感謝状を受け取る宮本龍一さん=和歌山県串本町串本で
 和歌山県警串本署は25日、花札の絵柄をモチーフに、イノシシやシカとの交通事故に対して注意を呼び掛ける看板を制作して国道42号沿いなどに設置した木下建設(有田市)に感謝状を贈った。昨年は設置後の7月以降、同署管内で発生したシカやイノシシとの交通事故は5件で、前年同時期の半数以下に減ったという。

 花札の「猪鹿蝶(いのしかちょう)」をモチーフにした看板は、イノシシの絵と「当て逃げ注意」という文字、シカの絵と「猪鹿飛び出し」という文字のほか、チョウの絵と「すさみ串本道路」の文字が記された計3種類。大きさは縦165センチ、横55センチで、夜間でも見やすいよう反射する素材で作ったという。

 高速道路「すさみ串本道路」の工事に五つの現場で携わっている木下建設が、すさみ町から串本町の国道42号沿いでシカやイノシシと車が衝突する事故が相次いでいることを知り「工事で地域の方にご迷惑をかけており、啓発活動に協力できれば」と同署に提案。昨年6月下旬から、担当している工事現場の入り口付近などに計24枚の看板を設置し、ユニークなデザインがドライバーの目を引いてきた。

 同署によると、管内で昨年発生したシカやイノシシとの交通事故は19件。おととしの20件より1減にとどまっているが、看板設置後の7月以降で比べると、一昨年の12件から昨年は5件に減ったという。

 感謝状の贈呈は同町串本の串本署であり、同町和深にある同社のすさみ串本道路小河瀬谷川地区他改良工事小河瀬谷川作業所の宮本龍一所長に、泉政勝署長が手渡した。宮本所長は「道路管理者である国土交通省のご協力で看板を設置することができた。たまたまかも分からないが看板設置後は事故が減っており、効果があったのかなと思う。感謝状を頂き、改めて皆さんに知っていただく機会になるので非常にうれしい」。デザインを担当した岡田季代さん(大阪府池田市)も「イノシシとシカと聞いたときに、花札の猪鹿蝶が浮かんだ。インパクトがあるとSNS(会員制交流サイト)でも紹介されているのを見てうれしかった。動物との衝突事故がなくなってほしい」と話した。

 同社では現在担当している工事が3月下旬に終わった後も、来年度から携わる工事現場の近くに引き続き看板を設置できるよう、道路管理者と調整していく予定という。