和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

和紙をすいて卒業証書作り 田辺市の上山路小6年生

奥野誠さん(左から2人目)から指導を受ける児童=和歌山県田辺市龍神村安井で
奥野誠さん(左から2人目)から指導を受ける児童=和歌山県田辺市龍神村安井で
 和歌山県田辺市龍神村東、上山路小学校の6年生は毎年、地元の造形作家、奥野誠さんと妻の佳世さんの指導で、和紙をすいて卒業証書を手作りしている。30回目の今年は8人が予備を含め1人2枚を作った。

 奥野さん夫妻は、かつて龍神村で盛んに生産され、戦後いったん途絶えた「山路紙」を復活させた。同校が地域学習や森林学習の一環として実施している卒業証書作りで講師を務め、和紙作りの工程や紙の歴史、森林環境などについて教えている。

 児童は、学校の運動場で和紙の原料となるコウゾを栽培し、刈り取る体験をしたり、龍神村安井にある奥野さんの工房でコウゾの皮をむいたり紙をすいたりしている。この取り組みが評価され、同校は昨年度、県の「第20回わかやま環境賞」を受賞した。

 今年の6年生はこのほど、龍神村安井の工房で紙すきをした。コウゾの繊維から不要な物を取り除き、たたいて細かくほぐした。その後、繊維を混ぜた水槽に木の枠を入れて厚みが一定になるように何度もすくい、校章も加えて卒業証書に使う和紙を作った。乾燥作業は奥野さんらがする。

 完成した卒業証書は3月23日の卒業式で一人ずつに授与される。