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2024年12月20日(金)

和紙の原料コウゾ収穫 卒業証書手作りへ上山路小6年生

奥野誠さん(右)の指導を受けてコウゾを刈り取る児童=田辺市龍神村東で
奥野誠さん(右)の指導を受けてコウゾを刈り取る児童=田辺市龍神村東で
 田辺市龍神村東、上山路小学校の6年生8人が17日、自分の卒業証書に使う和紙を作るため、原料となるコウゾの収穫作業をした。

 地域の歴史や文化を学ぶふるさと学習「龍人学」や森林学習として毎年6年生が、かつて龍神村で生産されていた山路紙(さんじがみ)で卒業証書を作っている。その製作過程で、紙の原料となるコウゾを運動場の一角の学習園で育てて紙作りを総合的に学んでいる。

 指導しているのは、戦後途絶えていた山路紙を復活させた地元の造形作家、奥野誠さんと妻の佳世さん。誠さんは、2016年度に県の名匠表彰を受けている。

 児童への指導は、同校の前身の東小学校時代から続いている。紙すきの作業を体験させるだけではなく、紙の歴史を話したり、原料となるコウゾの栽培や紙を取り巻く環境問題も教えたりしている。

 この日は、県の緑育推進授業として実施。1時間目は誠さんが教壇に立って「紙について考えよう」をテーマに授業をした。日々の暮らしの中で紙が多く使われていることを児童に考えさせて、紙がないと暮らしや文化が成り立たないことを伝えた。誠さんが持参した麻布、縄、木材、木の皮、竹が紙の原料として使われることも話した。

 2時間目はコウゾを刈り取る授業。昨年の春から秋にかけて伸びた木を刈り取ると、今年の春には再び伸びることや、平野の少ない山地で米作りができない代わりに、紙の原料として育てたコウゾを売って生計の一つとしていたことなどを話した。

 児童は、誠さんの指導でのこぎりやはさみを使って次々と根元から切り、約60本を刈り取った。次回の授業では、コウゾの皮をむく作業をする。