和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月22日(金)

【紀南探検隊】パート9(6)歴史あるトラ模様/すさみ町小附のまだら岩

黒と白の境目がはっきり分かる「まだら岩」(和歌山県すさみ町小附で)
黒と白の境目がはっきり分かる「まだら岩」(和歌山県すさみ町小附で)
地図・まだら岩
地図・まだら岩
 今年は寅(とら)年。和歌山県の日置川の支流「城川」にトラの模様を持つ岩があると聞いた。これは縁起が良さそうだ。新聞記者になって2年目、初めての探検はトラ探しに決定。どんな「トラ」に出合えるか。わくわくしながら現場に向かった。

 だが、道のりは遠かった。情報によると「トラ」がいるのは、白浜町城とすさみ町の町境から、県道をすさみ側に2キロほど進んだ所。目印は現場近くの県道のカーブミラーに、A4サイズの看板があるだけという。携帯電話も圏外で頼りにならない。

 なんとかたどり着いたが、看板から先はまさに探検。取り付けられたロープを伝って急斜面を下った。

 ようやくたどり着いたうわさの「トラ」。通称「まだら岩」と呼ばれている。岩に白と黒の模様がくっきりと現れている。まだらというより、しま模様だが、見た目はまさにトラ、それもホワイトタイガーのようだ。本物のトラだと怖くて触れないが、岩はつるつるしていて気持ちいい。

 しかし、どうしてこんな模様ができたのか。南紀熊野ジオパークセンター(串本町)によると、数千年前に深い海でつくられた砂岩(白色)と泥岩(黒色)が交互に重なった地層が模様として現れたものだという。マグマに由来する熱で岩が硬くなり、川の水で磨かれたことで、つるつるとした岩になったそうだ。

 「トラ模様の岩にそんな地球の歴史があるなんて」。身近にも面白い題材はたくさんある。ますます探検意欲が湧いてきた。
(中嶋悠大)