和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月25日(月)

クラフト梅酒を世界にアピール みなべの製造者ら協力

16日に発売したみなべクラフト梅酒のミニボトルセットと「Yii」のフルボトル
16日に発売したみなべクラフト梅酒のミニボトルセットと「Yii」のフルボトル
 日本一の梅の産地、和歌山県みなべ町で造られる梅酒を世界にアピールしようと16日、東京都のPR会社や同町の酒類製造所などが協力して、梅酒の企画販売を始めた。地元産の梅を使った梅酒で「みなべクラフト梅酒」として売り出し、産地の魅力も発信したいという。


 企画したのは、同町出身の高田昭代さん(63)が代表を務める東京都目黒区のPR会社「スリーシーズ」。香港や中国のデザイン振興機関のコンサルティングのほか、人材の育成や地域関連イベントの企画運営などをしている。

 みなべ町の梅農家は昔から、各家庭で梅酒を造って味わっており、その伝統を引き継ぎ、梅酒を製造して販売する農家や梅加工業者が増えている。そこで高田代表がこれまでの経験やネットワークを生かし、さらに海外に梅酒を売り込むことができればと、「紀州みなべ梅酒特区」であるみなべ町にある製造所に参画を呼び掛け、PR会社と製造所、販売会社が「みなべクラフト梅酒」プロジェクトを設立。町内からは3業者が参画した。

 第1弾で販売する梅酒は10種。「大人の女性が好む」「酒好きには敬遠される」という梅酒のイメージを変えられるよう、新しい商品構成と売り方で若者をターゲットにする。いずれも個性ある梅酒で9種は既に造られていたものだが、上富田町の紀州熊野蒸留所が製造するジンを使った梅酒「Yii(イー)」は新たに開発した。

 10種は、原材料であるアルコールにホワイトリカーだけでなく、清酒、泡盛、ブランデー、ウイスキーを使っており、度数も10~30度とさまざま。

 それを飲み比べできるミニボトル(150ミリリットル入り)のセットにして、度数が低いライト5本入り(4950円)と度数が高いハード5本入り(6050円)に分けて販売している。

 これとは別に10種を個別にフルボトル(500~750ミリリットル入り)として、2200~8800円で販売もしている。いずれも数量は限定。

 販売はオンラインショップ(https://minabecraftumeshu.jp)が中心だが、東京都や香港では飲食店と取引を始めた。地元では、みなべ町北道200の「CU9(キュー)」(電話0739・72・2256)で取り扱っている。

 スリーシーズの高田代表は「高品質の梅で、こだわりを持って造った梅酒は決定的においしい。香港で試飲してもらっても評判が良く、海外でも十分に売れると思う」と話す。16日に東京都内で試飲会を開いてPRしたほか、年末から新年にかけて香港でも計画している。「梅酒を通して町や人の魅力も世界に発信していきたい」としており、今後、台湾や中国、東南アジア、アメリカにも広げていきたいという。

■賛同製造所増やしたい

 この企画に参画しているみなべ町の3社は、梅加工業者で酒類製造所の紀州本庄うめよし(西本庄)、横山食品(同)、鈴梅(東岩代)。うめよしの山西善信社長(40)は「この取り組みをきっかけに梅酒の新しい層を開拓し、海外でももっと売っていけるようになればと思う」。高田代表は「賛同してくれる製造所を増やし、梅酒の充実を図るとともに梅産地を盛り上げたい」と話している。