和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

修学旅行での訪問増加 県土砂災害啓発センター

和歌山県土砂災害啓発センターで、実験装置を使って砂防えん堤の役割を確認する岡小学校の児童(和歌山県那智勝浦町で)
和歌山県土砂災害啓発センターで、実験装置を使って砂防えん堤の役割を確認する岡小学校の児童(和歌山県那智勝浦町で)
 修学旅行の一環として和歌山県土砂災害啓発センター(那智勝浦町市野々)を訪れ、防災学習に取り組む小中学校が増えている。コロナ禍で旅行先を紀南に変更した学校が訪れるケースもあり、センターは「防災学習の取り組みが県下全体に広がり、地域の防災力の底上げにつながれば」と話している。


 センターは、土砂災害の防災教育や啓発活動を行う日本で唯一の施設。センターでの授業だけでなく、学校への出前授業にも取り組んでいる。校区ごとに作製したハザードマップや、土石流が起こる様子を模型で再現した実験装置などを活用し、学校や学年に応じて学習内容を工夫している。学校からの申し出に応じて、紀伊半島大水害(2011年9月)の被災体験を伝えている語り部の紙芝居を見てもらうこともある。

 センターによると、2016年4月の開館以来、学校による防災学習での活用は16年度5校、17年度8校、18年度5校、19年度8校。修学旅行で訪れる学校はこれまでなかったが、コロナ禍で修学旅行先の変更が相次いだ20年度には、小中学校や高校計11校が修学旅行の一環でセンターで防災学習に取り組んだ。本年度は11月25日現在計15校で、すでに前年度を上回っている。

 25日には、岡小学校(上富田町)6年生18人がセンターを訪れ、修学旅行の一環で防災学習に取り組んだ。センター職員から土砂災害のメカニズムや避難の大切さなどについて説明を受けた。また、センターが作製した学校周辺のハザードマップを使って、自宅や避難場所の位置を確認。土石流が起こる様子や砂防えん堤の役割を学ぶ実験装置も見学した。

 また、この日は田辺第三小(田辺市)の児童も修学旅行で防災学習をした。人数が多いためコロナ対策として町内にある町体育文化会館で防災を学んだ。

 センターの坂口隆紀所長は「子どもたちが自分ごととして災害について学び、それを家族や地域の人に伝えてもらうことが、地域の防災力の底上げにつながると思う。災害の危険がある半面、自然が豊かな素晴らしい場所に住んでいるということも併せて学習し、いざという時に子どもたちが自分で判断して行動できるようになってもらえたら」と話している。