和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月04日(水)

誰もが読書楽しんで 図書館やNPOが工夫凝らした本や補助具、和歌山

カウンター前にある、点字付きの絵本や、やさしく読めるように工夫された「LLブック」が並ぶ棚(田辺市新庄町の県立紀南図書館で)
カウンター前にある、点字付きの絵本や、やさしく読めるように工夫された「LLブック」が並ぶ棚(田辺市新庄町の県立紀南図書館で)
文字の上に絵を付けて分かりやすいように作られた「LLブック」(手前)や点字絵本、飛び出す絵本などがそろうNPOころんの「バリアフリー絵本図書館」=上富田町生馬で
文字の上に絵を付けて分かりやすいように作られた「LLブック」(手前)や点字絵本、飛び出す絵本などがそろうNPOころんの「バリアフリー絵本図書館」=上富田町生馬で
 障害のある人や高齢で小さな字が読みにくい人ら、誰にでも読書を楽しんでもらおうと、図書館や民間団体が工夫を凝らした図書を貸し出したり、読書の助けになる道具をそろえたりしている。


 田辺市新庄町の県立紀南図書館は、点字付きの絵本と、本の内容を理解することが苦手な人にもやさしく読めるように工夫された「LLブック」を各約30冊、大きな活字で書かれた「大活字本」を約1300冊そろえている。パソコンで再生し、読み上げ機能があって目でも耳でも楽しめる電子図書「マルチメディアデイジー図書」も約30枚ある。

 さらに、視覚障害がある人に読書を楽しんでもらおうと、1994年から音訳ボランティアグループ「ともしび」に依頼し、電話での朗読サービスと、録音図書の制作サービスをしている。録音図書の制作は、利用したい人の希望する本や手持ちの本などをCDやカセットテープに録音する。制作には1冊に1カ月~3カ月ほどかかる。毎年20冊ほどの依頼があるという。

 拡大鏡や、読みたい行に視点を集中させる定規のような形をした道具、老眼鏡などの補助具も、館内での読書の際に貸し出している。

 担当職員は「全ての人に図書館を利用してもらえるようにすることが図書館の使命だと思う。読みやすいよう工夫された本の冊数をさらに増やしていきたい」と話している。

 田辺市東陽の市立図書館は、点字図書を約180冊、カセットテープとCDの録音図書を2500本以上、大活字本を約1050冊そろえている。LLブックも数冊置いている。

 障害児や発達の気になる子どもと家族の支援をしているNPO「ころん」(田辺市)は「バリアフリー絵本図書館」を、6月から上富田町生馬、彦五郎公園横にある手作りの店「ヒコゴロン」でしている。点字の付いた絵本や触って楽しめるように絵が立体になっているもの、音が鳴るもの、LLブック、飛び出す絵本など約300冊をそろえており、これまでに約120人が会員登録し、延べ約210冊を貸し出した。貸出期間は2週間で、一度に1人1冊まで。利用料は無料。

 拡大鏡や傾斜台、ページをめくるスティックなどの貸し出しもしている。

 また、外出しにくい人たちにも楽しんでもらいたいと、専用車による「出張図書館」もしており、本を載せて自宅前まで出向く。希望日の1週間前までに申し込みが必要。

 問い合わせ、営業時間などの詳細はヒコゴロン(0739・33・2266)へ。