和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2021年12月09日(木)

雌雄同体の混在確認 タイリクカブトエビ研究の長縄さん

飼育実験で得られた雌雄同体のタイリクカブトエビ=長縄秀俊さん提供
飼育実験で得られた雌雄同体のタイリクカブトエビ=長縄秀俊さん提供
 和歌山県白浜町で生息が確認されている小型甲殻類のタイリクカブトエビが、雌雄の交配に加え、雌雄同体による自家受精も行っていることを、京都大学瀬戸臨海実験所(白浜町)の元研究員、長縄秀俊さん(58)=現・岐阜大学特別協力研究員=が突き止めた。長縄さんは「生存戦略として、非常にまれな性的システムを進化させてきたのだろう」と話している。この研究成果は、岐阜大学へ提出された博士論文(英文)にまとめられた。

 世界で知られる約50種類(国内6種類)のカブトエビについて、雌雄による生殖と雌雄同体による自家受精の二つの方法が知られていた。これらが混在する例はこれまで報告されておらず、タイリクカブトエビも雌雄の交配によって繁殖すると考えられてきた。

 長縄さんによると、2017年に白浜町の農地でタイリクカブトエビが生息しているのを初確認。休眠卵が含まれる土を研究室に持ち帰り、飼育実験を繰り返した。脱皮の経過を観察している際、雄でも雌でもない個体が含まれていることに気付いたという。外観が中間的な特徴を示していたため、生殖器官を観察すると、卵巣と精巣が合体した卵精巣を持っていることが分かった。

 雄と雌、雌雄同体の混在は、植物と動物の両方で発見されているが、その出現率は数%と推定される。染色体の形態を調べた結果、12本ある染色体のうちの2本の一端にそれぞれ欠失が認められた。これらの影響で変異した個体が雌雄同体になるのではないかと推測している。

 長縄さんは「動物の雌雄同体のメカニズムには謎が多い。今回の発見で雌雄のカブトエビ種から染色体異常により雌雄同体が派生した可能性の高いことが分かった。今後さらに詳しく調べていく」と話している。