和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月26日(木)

漁船からロケット発射見学 串本観光協会がクルーズ検討

ロケット発射の見学を予定している海域で発射地点を指さす観光協会の職員(和歌山県串本町沖で)
ロケット発射の見学を予定している海域で発射地点を指さす観光協会の職員(和歌山県串本町沖で)
テストクルーズで海から橋杭岩に近づき、ガイドをする関係者(和歌山県串本町沖で)
テストクルーズで海から橋杭岩に近づき、ガイドをする関係者(和歌山県串本町沖で)
 和歌山県串本町の南紀串本観光協会(島野利之会長)が、同町田原にできる日本初の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」からのロケット打ち上げを、漁船に乗って海上から見学する観光クルーズ事業の実施を検討している。ロケット見学だけでなく、橋杭岩といったジオサイトなどを船で巡ることも想定しており、関係者が24日、テストクルーズを体験。今後、参加者の意見を聞くなどしながら内容を固め、実現を目指すという。


 観光協会では「新しい観光コンテンツを創出し、同時に漁業者の経営支援の一助になれば」などとして、漁船を活用した観光クルーズ事業について検討。観光協会と、岡本海事事務所(岡本将和代表、串本町串本)がつくった地元の旅行業者「令和トラベル」が共同運営し、和歌山東漁協に船舶を選定してもらう方法での実施を計画しているという。

 この日は、同町で水産養殖業のほか既に湾内クルーズにも取り組んでいる「岩谷水産」(岩谷裕平代表、串本町大島)の協力で船を2隻出してもらい、関係者約20人がテストクルーズを体験した。

 船は串本漁港にある浮桟橋をスタートし、岩谷水産が育てているクエの餌やりを体験した後、同町くじの川の橋杭岩や同町西向沖にある九龍島・鯛島の近くを経て、ロケット打ち上げの見学予定海域まで航行。その後は紀伊大島の近くや「くしもと大橋」の下などを巡り、約1時半で出発地点に戻った。

 観光協会のガイド部会長を務める神保圭志さん(68)も乗船して橋杭岩などを案内。「内海でそんなに波が高くないのでやりやすかった。陸から見えない所も説明できるので、ガイドの幅が広がる」と話した。

 地域活性化に取り組んでいる串本古座高校CGS(地域包括的支援)部の1年生、谷下好花さん(15)は「初めて体験できたり、知ったりできて楽しかった。船からロケットの発射を見るのはすごく楽しみ」と笑顔で話し、町産業課の枠谷徳彦副課長も「観光資源として十分活用できる」と手応えを感じた様子だった。

 観光協会の宇井晋介事務局長は「今日は最初の取り組みとして、まずロケットの打ち上げがちゃんと見えるのかを確認した。ロケットだけでなく、いろんなものを結び付けながら串本の魅力を発信できる事業にしていきたい。参加された皆さんから意見を頂きながら形にしていければ」と意気込んでいた。