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2024年12月23日(月)

児童がジビエ学ぶ 龍神で出張県政おはなし講座

夏休み中の小学生が学んだジビエに関する県の出張講座(和歌山県田辺市龍神村安井で)
夏休み中の小学生が学んだジビエに関する県の出張講座(和歌山県田辺市龍神村安井で)
 和歌山県田辺市龍神村安井の龍神市民センターでこのほど、県畜産課職員による「わかやまのジビエのおはなし」と題した講座があった。市の「山村地域における子どもの居場所づくり事業」に参加している、夏休み中の龍神村の児童36人が聴講した。

 県の「出張県政おはなし講座」の一環。ジビエに関する講座は以前から県内の小中学校や高校で実施しているが、新型コロナウイルスの影響で開催を希望する学校が少なく、この日が本年度最初の講座。

 講師は、県畜産課の上田雅彦課長補佐(48)と坂口未紗技師(28)が務めた。ジビエとは何か、どうしてジビエのことを勉強するのか、ジビエにはどんな栄養があるのか―の3点について、スライドを使ったりクイズを出したりして分かりやすく説明した。

 ジビエは、狩猟で手に入れた野生動物の肉のことを指すフランス語。欧州では昔、貴族や王様が食べる特別な料理だったこと、県では現在「わかやまジビエ」としてイノシシやシカの肉をPRしていることなどを話した。

 日本ではイノシシの肉を食材にした「ぼたん鍋」があるが、最近はハンバーガーやサンドイッチなどさまざまな料理で使われ、ジビエ料理を食べられる店が増えていることも述べた。

 近年、県内ではイノシシやシカに農産物が食べられる被害が増えていることにも触れた。果実や葉を食べられたり、根を掘り起こされたりしたミカンの木の様子を写した写真をスライドに映し、農作物を荒らされて農家が困っている状況を伝えた。

 ジビエは山で捕れる貴重な肉で、昔は猟師が必要な分だけ捕獲していたが、最近は食べるのに必要な分よりも、はるかに多いイノシシやシカを捕獲する必要が出てきたことを説明した。

 イノシシ肉には疲労回復の効果があるとされるタウリンなどが豊富に含まれ、シカ肉は脂肪分が少なく鉄分が豊富なことなどを説明し、鉄分不足の人やスポーツをする人にジビエが適していると解説。肉を処理した後の皮が財布やかばんの材料に、骨はだしなどに使われていることも紹介した。

 坂口さんは「頂いた命を無駄にせず、いろいろな事に役立てている。ジビエについてはあまり知られていないので、もっと知って、和歌山で捕れるおいしい食材の一つとして親しんでもらえたらと思う。学校の給食で食べる時に今日の話を思い出して」と呼び掛けた。