和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月18日(月)

縁つなぐ場へ試行錯誤 オープン1年の田辺エンプラス

昨年8月のオープンから1年を迎える「田辺エンプラス」(和歌山県田辺市湊で)
昨年8月のオープンから1年を迎える「田辺エンプラス」(和歌山県田辺市湊で)
 和歌山県田辺市がJR紀伊田辺駅前に整備した「田辺エンプラス」(田辺市湊)が10日、オープン1年を迎える。まちなかのにぎわい拠点として、地域産品をPRするショップやカフェ、コワーキングスペース(共有オフィス)を設けた施設。コロナ禍の中、屋外で定期的にマルシェを開いたり、イベントやセミナーを次々に企画したりと、地域内外の人たちの「縁」をつなぐ場づくりに試行錯誤している。


 国のモデル地区に指定された「景観まちづくり刷新事業」の一つとして建設。まちづくり会社「南紀みらい」(同市湊)が指定管理者として運営している。

 2階にあるコワーキングスペースは、さまざまな業種の人たちと交流しながら仕事をする場。有料で利用できる。会員登録者数は309人(7月末時点)で、うち160人が市内在住者。サービス業からIT関連、建設業など業種はさまざまで、フリーランスの人が打ち合わせやウェブ会議のために使ったり、県外から出張やワーケーションで来た人が立ち寄ったりすることが多い。駅前という立地から、電車の待ち時間や空き時間に利用する人もいるという。

 大分県別府市からワーケーションで紀南を訪れたという会社経営者、樹下有斗さん(29)は「『田辺 コワーキング』でインターネット検索したところ、たまたま施設の存在を知った。ネット環境が整っており、集中して打ち合わせができるスペースもあって助かった」と笑顔で話した。

 1階にあるショップとカフェでは、梅製品やクラフトビールなどの産品、地元の食材を使った軽食や飲み物を提供。来店客は女性が中心で、30~50代が7割を占めている。連休やイベントが重なった日は700~800人程度が来場したこともあったという。

 施設では他に、地域のものづくりが体験できる講座、創業支援のセミナーなど、ジャンルを問わずさまざまなイベントを打ち出している。

 南紀みらいの担当者は「出会いの場、集う場をつくるということを意識してさまざまな取り組みをしている。今後は訪れた人同士のつながりをさらに深め、新たなビジネスの創出など、地域への波及効果を広げていきたい」と話している。

■記念イベント開催 無料キャンペーンも

 南紀みらいは9日午前10時~午後4時、田辺エンプラス屋外マルシェスペースで「EN―JOY(エンジョイ)マルシェ」を開く。オープン1年を記念し、扇ケ浜公園カッパークで毎月第3日曜に開かれている「弁慶市」も、近くの弁慶広場で同時開催。両イベント合わせて21店が出店する。雨天決行、荒天中止。

 また、コワーキングスペースの月額会費(通常は1万円、市民は半額)が無料になるキャンペーンも31日まで実施している。

 問い合わせは南紀みらい(0739・33・9761)へ。