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2024年12月24日(火)

水泳授業2年ぶり実施へ 田辺市の小中学校

プール開きに向けて掃除をする児童(和歌山県田辺市下万呂で)
プール開きに向けて掃除をする児童(和歌山県田辺市下万呂で)
 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、昨夏は多くの学校で実施できなかった水泳授業。和歌山県田辺市内でも昨年度、全ての小中学校で中止となったが、本年度は小学校を中心に感染予防対策を取り6月中旬から2年ぶりに実施される。

 田辺市教育委員会によると、今後の感染状況にもよるが、現時点で市内の小学校と市立の幼稚園の全てで実施する予定。中学校では水泳は必修でないため、本年度も感染対策が十分にできないことを理由に取りやめる学校が多く、一部の学校が時間数を制限して着衣泳法などを指導する。また、夏休み中に保護者らの協力で実施するプールの利用も感染対策が十分にできないため、全ての学校で中止する。

 小学校の水泳授業では、特に大規模校は児童を見守る教員数や授業時間数を多く確保できる利点から、複数クラスで合同で取り組むことが多い。大人数になるため、密集・密接の場面になりやすいことが問題だった。本年度は一度にプールを利用する児童生徒数を減らし、プール内、プールサイドで人との間隔を広くとるなどの対策を講じる。

 同市内で児童数が最も多い会津小学校(田辺市下万呂、全校児童445人)では7日、プール開きを前に6年生76人が掃除をした。大プール、小プール、プールサイドなどをたわしやデッキブラシを使って磨き上げた。

 6年生の原一花さん(11)は「みんなが気持ち良く使えるように掃除をした。去年の分も泳ぎが上達するように頑張りたい」、川野郁太君(11)は「去年の夏はプールがなくて、いつもより暑く感じた。今年の目標は平泳ぎをマスターすること」と話した。

 例年、会津小では学年ごとに合同で水泳授業に取り組み、14時間の授業時間を確保しているが、本年度は学級ごとに分散するため1学級につき8時間(週2時間)に減る予定だ。

 感染予防対策としては、密集・密接の場面が増えるプール内での「自由遊び」の時間は設けない、教員はできるだけ児童の体に触れずに指導する。

 2年ぶりの実施で懸念されるのは、2年生にとっては入学後初めての水泳授業であり、3年生は小プールを1年生の時しか経験せずに大プールでの授業になるなど、水に慣れる基礎を学ぶ必要がある低学年への負担が大きいこと。感染対策によって1度に参加する教員数が減るため、児童の見守り体制を整えることにも工夫が必要になる。

 会津小の亀井陽一校長は「水泳授業は命を守ることを教える単元でもある。2年連続の中止は避けることができてよかった。工夫をして安全に取り組みたい」と話した。