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2024年12月19日(木)

35年ぶり屋根ふき替えへ みなべ町の須賀神社社殿

35年ぶりに檜皮葺屋根がふき替えられる須賀神社の社殿(和歌山県みなべ町西本庄で)
35年ぶりに檜皮葺屋根がふき替えられる須賀神社の社殿(和歌山県みなべ町西本庄で)
 和歌山県みなべ町西本庄の須賀神社は、県の文化財に指定されている社殿の檜皮葺(ひわだぶき)屋根を35年ぶりにふき替える。壁面に施された色鮮やかな絵柄の修復もする。6月から始め、約1年半後に完了する予定。


 須賀神社は平安中期の一条天皇(980~1011)の時代に京都祇園御霊宮(現在の八坂神社)を勧請したとされ、「ごりょうさん」と呼ばれて親しまれている。秋祭りは、迫力ある馬駆けが繰り広げられることで知られる。

 社殿は3棟あり、素戔嗚尊(すさのおのみこと)、櫛稲田姫命(くしなだひめのみこと)、八柱御子神(やはしらのみこがみ)が祭られている。現在の建物は江戸中期に建立された。一間社隅木入り春日造りの整った形態で、壁面には緑青や鉛丹、黄土で極彩色に塗った竜や獅子、松などの絵柄や彫刻が豊富に施され、屋根は檜皮ぶき。古い形式を伝える貴重な建造物として、1968年に県の文化財に指定された。

 ふき替えはこれまで25~30年に1度のペースで続けられおり、ここ5、6年でコケが増えるなど傷みが一気にひどくなってきた。絵柄も塗りの剝がれが目立っており、これまでも少しずつ手直ししてはいるが、今回大掛かりに修復することにした。工事は専門業者に委託する。事業費は氏子からの浄財のほか、県や町からの補助金を充てる。

 前芝弘知宮司(45)は「神社は地域の宝で、先人が守り継いできた。これを次世代に引き継がなければいけない。このような規模の修復は氏子が減り続ける中で厳しいと思ったが、30年後にはもっと厳しくなると考え、関係者で決断した。さまざまな人の支えがあって実現でき、ありがたい」と話している。