和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月15日(金)

住宅の耐震改修堅調 田辺市、熊本地震から5年

和歌山県田辺市の住宅耐震化補助実績
和歌山県田辺市の住宅耐震化補助実績
 多くの住宅が全半壊した2016年4月の熊本地震以降、市町村の補助制度を活用した木造住宅の耐震改修が増えている。和歌山県田辺市では16年度まで年間24件が最高だったが、17年度からは4年連続で30件を超えている。市はさらなる増加を見込み、21年度当初予算に45件分を盛り込んだ。

 補助対象は00年5月以前に着工した木造住宅。耐震診断は無料で、改修は設計と改修工事で最大116万6千円の補助がある。

 阪神大震災では耐震基準が厳しくなる1981年5月以前に建てられた「旧耐震基準」住宅の多くが倒壊。熊本地震では81年6月以降の「新耐震基準」でも、2000年6月以降の「最新基準」を満たしていない住宅で被害が多かった。

 こうした状況を反映しながら、補助制度も見直しを繰り返してきた。14年度に現地建て替えも対象に加え、17年度にはそれまで1981年5月以前の建築としていた対象を2000年5月以前に拡大した。

 田辺市の住宅改修は17年度34(うち現地建て替え18)件、18年度35(19)件、19年度65(33)件、20年度36(20)件。19年度は消費税増税前の駆け込み需要や住宅ローン減税などの影響で、増加したとみられる。

 耐震改修で成果を上げているのが、古い家屋に住む人に耐震診断と改修を直接呼び掛ける「ローラー作戦」。町内会と協力して、補助対象になりそうな世帯を一戸ずつ回る。市が08年度に始め、19年度まで耐震診断は連続200件あった。

 20年度はコロナ禍のため、ローラー作戦を断念。診断件数は当初低空飛行が続いたが、コロナが落ち着いた時期に案内チラシを各戸の郵便受けに入れて回ったところ、120件まで増えたという。

 市建築課によると、本年度は8日までに診断30件、改修7件の申し込みがある。コロナの収束は見通せず、ローラー作戦に代わる啓発を検討したいという。

 【熊本地震】16年4月14日にM6・5の地震(前震)が発生し、16日にはM7・3の地震(本震)が起きた。熊本県益城町で震度7が2回観測された。熊本県内で約4万棟の住宅が全半壊した。