和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月19日(木)

紀南の歴史や文化を世界へ 11月に「アートウイーク」開催

(左から)藪本雄登さん、宮津大輔さん
(左から)藪本雄登さん、宮津大輔さん
 現代アートの芸術祭「紀南アートウイーク」(実行委員会主催)が今秋、和歌山県の白浜町や田辺市を舞台に初めて開催される。紀南の歴史や文化を再発見し、世界に発信するのが狙い。会場の特色に合わせ、世界的な芸術家の映像作品を中心に展示したいという。会期は11月18~28日。


 実行委によると、紀南にある「牟婁」の地名は「こもる」の意味がある。一方、海外への移民文化など「開放性」という地域特性もある。芸術祭ではこうした歴史、文化を見つめ直し、現代に現したいという。展示だけでなく、紀南の文化に関するシンポジウムやワークショップなども予定している。

 実行委員長の藪本雄登さん(32)は白浜町出身で、カンボジアに在住。法律事務所を経営するとともに、東南アジアのメコン地域のアートに特化したアウラ現代美術振興財団を運営している。

 芸術監督は横浜美術大学長や森美術館理事で、現代アートの収集家でもある宮津大輔さんが務める。南紀白浜エアポートが共催に加わり、紀南のさまざまな団体、個人が協力している。

 藪本さんが関わるカンボジアの現代アートは、現地の歴史や文化を徹底的に調査研究し、地域の特性を抽出した作品を世界に発信しているという。これを紀南地域でもできないかと考えた。

 藪本さんはカンボジアで法律事務所を起業し、世界18拠点で展開している。「地方の生き残りの方法が『輸出』。高付加価値の商品を世界に輸出し、グローバル経済の恩恵を受け、地域に還元する。アートウイークは輸出のきっかけになる」と話している。

 実行委は現在、展示会場の選定や地域の歴史・文化の掘り起こしなどを進め、ホームページ(HP)、フェイスブックやインスタグラムでは日本語と英語で情報発信をしている。フェイスブックの投稿内容を読む登録者は1万人を超えている。

 今後、芸術祭の意義や魅力を伝えるトークイベントなどを企画しており、ネットで配信するとともに、文章化して2言語でHPなどに掲載する予定。

■トークイベント  3月5日 オンラインで


 「なぜ今、紀南アートウイークを開催するのか」をテーマにしたトークイベントが3月5日午後7時~8時半、ウェブ会議システム「Zoom(ズーム)」を通じオンラインである。藪本さんと宮津さんが、紀南地域の魅力と現代アートの「化学反応」について語る。参加は無料。

 申し込みはチケット予約サイト「Peatix(ピーティックス)」内イベントページか、メール(info@kinan-art.jp)へ。メールの場合は本文に氏名、住所を記入する。