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手話で歩み寄れる社会に 聴覚障害者団体が学習会

手話言語条例の有効な運用について意見交換する田辺市聴覚障害者協会の学習会(和歌山県白浜町中で)
手話言語条例の有効な運用について意見交換する田辺市聴覚障害者協会の学習会(和歌山県白浜町中で)
 和歌山県の田辺市聴覚障害者協会(愛瀬貞夫会長、17人)は、手話を通じ健常者と障害者が歩み寄れる社会をつくろうと、学習会を始めた。健常者に手話を伝えるため、手話に興味を持ってもらうきっかけをつくろうと、イベント開催や冊子の作成を検討している。

 市は4月に手話言語条例を施行した。条例では手話が独自の言語体系であることを理解し、手話を必要とする人とそれ以外の人が人格と個性を尊重し合いながら共生することを基本理念に掲げている。協会は条例の効果的な運用を目指している。

 協会の第3回学習会が10月26日に白浜町のIT企業のオフィスであった。「手話について知ってもらうには何が必要か」「聴覚障害者が自ら動かないと社会は変わらない」。条例の活用や手話の指導法など、手話を通じた話し合いは静かだが、熱い。時折、笑いも交えながら、和気あいあいと会は進んだ。

 学習会で課題となったのが、健常者と手話の接点。協会のメンバーは地元の小中学校で手話の授業をすることがあるが、年に1、2回程度。一般はさらにハードルが高い。手話講座に自主的に参加するような人でないと、ほとんど触れる機会がないという。

 愛瀬会長(65)は「手話は学校だけでなく、企業や行政の現場にも必要。例えば、聴覚障害者は病院で薬の説明がきちんと聞けずに困ることがある。交通事故に遭ったら、警察や消防はどう対応するか。そうした場面も考え、いろんな立場の人に手話を学んでほしい」と強調。「まず手話に興味を持ってもらうことから始めたい」と話している。

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