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実寸大のクジラ体感 「博士の出張講座」、和歌山・串本の出雲小

日本鯨類研究所の田村力参事(右)から、クジラについて教わる出雲小学校の児童=和歌山県串本町出雲で
日本鯨類研究所の田村力参事(右)から、クジラについて教わる出雲小学校の児童=和歌山県串本町出雲で
 和歌山県串本町出雲の出雲小学校でこのほど、県と一般財団法人日本鯨類研究所共催の「クジラ博士の出張講座」があった。5、6年生14人が研究所の田村力参事からクジラの生態などについて話を聞いたり、実寸大のクジラが描かれた幕の上に座ったりした。


 水産資源としてのクジラや捕鯨文化について理解を深めてもらおうと、出雲小など県内三つの小学校で講座があった。

 クジラは世界で85種おり、そのうち日本近海では40種類が生息している。体が大きく、餌を多量に食べ、水の中で生活する哺乳類で、潮を吹く特徴がある。

 田村参事は歯を持つ「ハクジラ」とひげのある「ヒゲクジラ」の二つに分けられること、尾びれを左右に動かして泳ぐ魚類に対し、クジラは尾びれを上下に動かすことを紹介した。

 体長約8メートルのミンククジラが描かれた幕を広げ、子どもたちがクジラの体を観察。田村参事によると、クジラの祖先は陸で生活する四足歩行の動物だったが、水中で生活するようになり前足は胸びれに、後ろ足は退化した。後ろ足の名残になる骨がクジラの体に残っているという。

 さらに、クジラと日本人との関わりについても説明。太地町は古式捕鯨発祥の地として知られ、1606年にクジラ漁を目的とする漁民でつくる「鯨組」が創設された。現在、新宮市から串本町の沿岸市町は、日本遺産「鯨とともに生きる」に登録されていることも伝えた。

 クジラは戦後、食糧危機を救う食べ物として重宝されてきた。1960年の肉類消費量は1人当たり5・2キロ。そのうち、1・6キロをクジラ肉が占めていたという。一方で、2017年は1人当たり32・7キロの肉類を消費しているが、クジラ肉は0・1キロ。田村参事は「クジラが牛や豚、鶏に置き換わっていった。クジラには抗疲労効果や鉄分が含まれ、栄養が豊富」と語り、クジラ肉を使った料理を紹介した。

 また、研究所ではクジラの数を数えたり、生態を調査したりして資源を守るために活動していることを説明した。体長25メートルのシロナガスクジラが描かれた幕を広げると、子どもたちはその大きさに興味津々な様子だった。

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