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トンネルの調査報告書公表 「ずさん工事」の再発防止へ、和歌山県

ずさんな工事がされていた県道長井古座線の八郎山トンネル(和歌山県那智勝浦町で)=県提供
ずさんな工事がされていた県道長井古座線の八郎山トンネル(和歌山県那智勝浦町で)=県提供
 和歌山県は12日、県道長井古座線の八郎山トンネル(串本町―那智勝浦町、711メートル)で発覚した大規模ずさん工事に対する調査報告書を公表した。原因に業者の倫理観欠如、県の監督検査体制の不十分さなどを挙げ、再発防止に取り組むとしている。

 トンネルは県から請け負った淺川組(和歌山市)と堀組(田辺市)の共同企業体が施工。県へ引き渡した後、覆工コンクリート(内壁)が大幅に薄かったり空洞があったりするなど、さまざまな問題が発覚した。現在、淺川組が自社負担で、全国でも異例となるほぼ全面的なやり直し工事を進めている。

 報告書は、問題発覚後に県が設置した有識者による「技術検討委員会」の意見を基にまとめた。主な原因として、業者に近代的なトンネル施工の基礎知識が不足していたことや、施工不良を認識しながら作業を進めた技術者の倫理観欠如などを指摘。一方、県についても監督、検査に問題があったとしている。

 工事の進展に応じて実施する「段階確認」で、覆工コンクリートについて本来は136回確認すべきところを6回しかしていなかった。県の担当者はトンネル工事の監督が初めてだったのに、支援体制が確保されていない、技術力向上の取り組みがされていないなど、組織として適切な対応ではなかったとしている。

 報告書では、県職員の研修強化や、工事品質を重視した入札制度への見直しなどの再発防止策を挙げており、県はすでに取り組みを進めている。

 報告書は県道路建設課ホームページで閲覧できる。

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