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「倫理観欠如、猛省促す」 トンネルずさん工事で和歌山県知事

ずさんな工事がされていた県道長井古座線の八郎山トンネル(和歌山県串本町で)∥県提供
ずさんな工事がされていた県道長井古座線の八郎山トンネル(和歌山県串本町で)∥県提供
 和歌山県が、県道長井古座線の「八郎山トンネル」(串本町―那智勝浦町、711メートル)のずさん工事についての調査報告書をまとめたことを受け、岸本周平知事は5日の定例記者会見で、自動車メーカーの不正を引き合いに出し「それに匹敵するほどの倫理観の欠如があった。会社に猛省を促す」と述べた。

 岸本知事は「本当にこんなずさんな事が起きたのかと、いま一度驚かされた」とし、業者に損害賠償を請求する考えを示した。弁護士や国土交通省と相談しながら準備を進めているという。

 トンネルは県から請け負った浅川組(和歌山市)と堀組(田辺市)の共同企業体が施工。トンネルのほぼ全体で内壁が薄かったり、トンネルを支える鋼材約700本のほとんどがずれて設置されていたりした。データを改ざんして県に報告したことも発覚。浅川組が自社負担でやり直し工事を進めている。

 調査報告書は有識者でつくる県「技術検討委員会」の意見を聞いてまとめた。近く、県ホームページで公開される。

■「総合的な見直しを」 入札制度

 岸本知事は会見で、これまで県が実施してきた入札制度改革を次期総合計画で検証するとともに、入札制度の総合的な見直しを検討していく考えも示した。

 災害対応を例に挙げ「実際に重機を持って現場で施工している業者しか助けてくれないし、そういった会社は設備に償却がかかり経営上大変になる。どうバランスを取るか」と指摘。その上で「入札の際、災害の時に助けてくれる会社に、もっと優遇をしてもいいのではないかという意見もある」と話した。

 さらに「災害協定を結んでいる会社は総合評価で加点されるが、重機も持っていない会社が加点されることでいいのかという議論も出てくると思う。総合的に見直していきたい」とも述べた。

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