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佐藤春夫記念館が長期休館 26年度移転オープン、和歌山・新宮

移転事業のために長期休館している佐藤春夫記念館(和歌山県新宮市で)
移転事業のために長期休館している佐藤春夫記念館(和歌山県新宮市で)
 和歌山県新宮市が同市出身の作家・佐藤春夫(1892~1964)の邸宅を東京から熊野速玉大社(新宮市新宮)の境内に移築して開設していた「佐藤春夫記念館」が、長期休館している。約1キロ離れた場所への移転事業に伴うもので、市は2026年度初めのリニューアルオープンを目指している。

 記念館は1927年から、佐藤が72歳で亡くなるまで過ごした東京都文京区の邸宅を移築し、89年11月に開館した。木造2階建ての洋館で、延べ床面積は232平方メートル。

 市教委文化振興課によると、開館から約35年がたち、雨漏りなど老朽化が進んでいることや寄贈品が増えて収蔵庫が手狭になってきたことから移転を計画。佐藤と同じ新宮の名誉市民で、親交もあった西村伊作(1884~1963)が設計した国重要文化財の旧西村家住宅(西村伊作記念館)や観光交流施設「旧チャップマン邸」(国登録有形文化財)に近く、佐藤の作品「わんぱく時代」にもゆかりがある場所として、旧チャップマン邸の隣接地(約千平方メートル)を購入した。

 現在の建築基準に適合させながら、使える部材はできるだけ活用し、基本的に従来の外観や内観を維持して移転させる方針。収蔵庫や廊下などが広くなる分、延べ床面積は約300平方メートルに増える。24、25年度に工事を実施。総事業費は約4億5千万円の見込み。

 記念館は佐藤の誕生日に合わせて今月9日をもって休館した。開館からこの日までに約17万5千人が訪れたという。文化振興課の峪中直樹課長は「この場所で佐藤春夫に思いを寄せていただいた人がたくさんいらっしゃったことは、すごく感慨深い。新しい施設にもぜひお越しいただきたい」と話す。

 記念館の辻本雄一館長も「休館中も情報発信やレファレンス(照会)などの活動は続けていく。新しい場所では、西村伊作記念館や旧チャップマン邸とうまく結び付けて機能できれば」と話している。
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