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原勝四郎展、野長瀬晩花展も

原勝四郎「白浜風景」(1948年ごろ、県立近代美術館蔵)
原勝四郎「白浜風景」(1948年ごろ、県立近代美術館蔵)
原勝四郎「海」(1935年ごろ、個人蔵)
原勝四郎「海」(1935年ごろ、個人蔵)
野長瀬晩花「秋の草花」(1921年ごろ、田辺市立美術館蔵)※熊野古道なかへち美術館で展示
野長瀬晩花「秋の草花」(1921年ごろ、田辺市立美術館蔵)※熊野古道なかへち美術館で展示
野長瀬晩花「三味線を弾く女」(1917年、県立近代美術館蔵)※田辺市立美術館で展示
野長瀬晩花「三味線を弾く女」(1917年、県立近代美術館蔵)※田辺市立美術館で展示
 田辺市たきない町の市立美術館は、特別展「原勝四郎展 南海の光を描く」を開いている。同市栄町出身の洋画家・原勝四郎(1886~1964)の制作を、同時代の同郷の画家たちの作品とともに紹介する。熊野古道なかへち美術館開館25周年記念特別展「野長瀬晩花と国画創作協会の画家たち」も、市立美術館となかへち美術館(田辺市中辺路町近露、市立美術館分館)で開催。同市中辺路町出身の日本画家、野長瀬晩花(1889~1964)の活動を、美術団体「国画創作協会」の画家たちの作品とともに振り返る。両館とも12月3日まで。


 「原勝四郎展」は県立近代美術館(和歌山市吹上1丁目)と共催で、同館でも12月3日まで、原勝四郎の生涯をたどる大規模な回顧展を開いている。

 原勝四郎は絵画を学ぶため、東京やヨーロッパにも赴くが、帰国後は郷里に戻り、生地に隣接した現在の白浜町で家族と暮らしながら、絵を描き続けた。田辺市立美術館では、親密な雰囲気の小品を、交流のあった田辺の芸術家たちの作品とともに紹介する。

 展示作品は、原勝四郎が「海」(1935年ごろ、個人蔵)、「白浜風景」(48年ごろ、県立近代美術館蔵)など約30点。同時代の芸術家たちが、勝四郎の6歳年上の兄である原保吉、勝四郎の5歳年下の弟の原愛造、田辺市秋津町生まれの楠本秀男、古座川町生まれの三栖敏雄の作品など約10点。

 保吉は1928年、勝四郎や楠本秀男らと田辺の画家たちを結集し、美術家の団体「無名社」を創立した。愛造も同社に加わって共に活動し、三栖敏雄も創立時からのメンバーだった。

 「野長瀬晩花」展は、市立美術館の展示室1・2となかへち美術館で開いている。晩花が創立に参画し、大正期の日本画に新風を吹き込んだ美術団体「国画創作協会」に関係した画家たちの作品を晩花の活動と同時に紹介。なかへち美術館は開館当初から、晩花の作品の収集や展覧会の開催を通じて顕彰を重ねてきた。

 晩花は13歳で大阪に出て日本画を学び、その後、京都に移って1909年、京都市立絵画専門学校の第1期生となった。この頃から「晩花」の号を使うようになり、学校にはほとんど通わず、反官展の姿勢を示して独創的な作品を発表。洋画の手法を取り入れた表現が注目され、大正期の京都画壇で異彩を放った。その後は次第に画壇から離れていったが、最後まで絵筆をとり続け、晩年は出身地の公民館に作品を寄進し、母校の校歌を作詞するなど郷里への思いを強くした。

 展示作品は、野長瀬晩花の「三味線を弾く女」(1917年、県立近代美術館蔵、田辺市立美術館で展示)や「秋の草花」(21年ごろ、田辺市立美術館蔵、なかへち美術館で展示)など約50点。

 11月11日は市立美術館、10月28日と11月25日はなかへち美術館で、担当学芸員による展示解説会がある。両館とも午後2時からで、予約不要、観覧料のみ必要。

 両館とも開館時間は午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)。毎週月曜休館(11月24日は休館)。観覧料は市立美術館が600円、なかへち美術館が400円。学生と18歳未満は無料。11月18、19日は「関西文化の日」で無料。

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