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大塔山系で日本初記録のコケ 元高校教員の土永さん見つける、和歌山・田辺市

日本で初めて確認されたヒメナガスジコモチイトゴケ(土永浩史さん提供)
日本で初めて確認されたヒメナガスジコモチイトゴケ(土永浩史さん提供)
ヒメナガスジコモチイトゴケの枝の先端にある針状の無性芽
ヒメナガスジコモチイトゴケの枝の先端にある針状の無性芽
 大塔山系で、国内初記録となるコケの仲間オオタマコモチイトゴケ属の一種が確認された。元高校教員で環境省レッドリスト調査員の土永浩史さん=田辺市秋津町=が見つけ、このほど、コケ類に詳しい兵庫県立人と自然の博物館の秋山弘之さんと共著で、蘚苔(せんたい)類学会誌の最新号に発表した。

 このコケは2014年、タイ北部で見つかったものを秋山さんが新種として記載。その後、フィリピンや中国、台湾からも報告されている。低木の枝などに着生し、立ち上がる茎の先端部が尾状になるなどの特徴がある。

 土永さんは18年8月、県立自然公園の調査で田辺市本宮町の大塔山系を訪れ、渓谷の樹幹でこのコケを見つけた。秋山さんに標本を送り、国内初記録であることが分かった。今回、枝の先端にたくさんの針状の無性芽(0・45~0・85ミリ)をつけていることも新たに確認された。和名をヒメナガスジコモチイトゴケと命名した。

 生育していた場所の周辺は、環境省や県の絶滅危惧種として分類されているコケ類が複数生育している渓谷だったという。土永さんは「紀南には同様の渓谷環境が残されているので、新たな産地が加わるだろう」と期待している。

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