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温暖化が梅やミカンに影響 全国一の産地和歌山で県うめ研究所が調査

不完全な花(右)は、花が小さく、めしべが短かったり、なかったりする=和歌山県うめ研究所提供
不完全な花(右)は、花が小さく、めしべが短かったり、なかったりする=和歌山県うめ研究所提供
浮き皮状態のミカン(右)は、果皮と果肉が分離した状態になっている=和歌山県果樹試験場提供
浮き皮状態のミカン(右)は、果皮と果肉が分離した状態になっている=和歌山県果樹試験場提供
 地球温暖化は、和歌山県特産の梅の着果やミカンの品質にも影響を及ぼしている。梅は開花前に高温だと実を付ける花が減り、不作の原因になることが調査で分かってきた。ミカンは秋の高温などが原因で、果皮と果肉が分離した状態になる「浮き皮」が多発しているという。


 県産梅の収穫量(1ヘクタール当たり)は、平年13・5トンに対し、暖冬だった2020年は8・4トンで記録的な不作だった。その原因を、県うめ研究所(みなべ町)が調査した。 

 00年から21年まで、県産梅の収穫量と開花前の12月~翌年2月の平均気温を見ると、おおよそ開花前の平均気温が高いと着果量は少なく、低いと量は多めという相関関係があった。12月~2月の同研究所の平均気温は平年7・3度に対し、20年(19年12月~20年2月)は9・3度だった。

 また、20年は他の品種の花粉で受粉する「南高」だけでなく、自家受粉できる品種「NK14」も不作だったため、受粉を助けるミツバチの活動以外の要因も着果に影響しているのではないかと考えた。

 そこで、研究所の園地で開花前の20年12月~21年2月、ビニールで覆い人工的に「暖冬」状態にした木の花と、露地の木の花を調べると、ビニールで覆った木ではめしべが短かったり、なかったりし、受粉樹のおしべの花粉も発芽しないなど機能が劣化していた。

 そうした不完全花率は、「南高」で露地の木が5%未満なのに対し、ビニールで覆った木は約30%発生。「NK14」は露地の木が約20%、ビニールをかけた木は約70%発生し、暖冬状態にした木の不完全花率は高かった。

 引き続き、花芽が生育中のどの段階で暖冬条件となるのが最も悪影響が出るのかや、暖冬条件下でも不完全花が発生しにくくなる方法を検討していく。

 うめ研究所の綱木海成研究員は「暖冬でも収量が確保できる栽培方法を見いだしたい」と話す。研究所では、温暖化に対応した品種の育成や、気象変動に強い苗木作りの台木になる品種の検討もしている。



 県果樹試験場(有田川町)によると、浮き皮は秋の高温や多湿が影響し、皮が傷み、腐敗しやすい。

 試験場で観測した1971年~80年の平均気温が15・77度だったのに対し、2013~22年の平均気温は16・17度と上がっている。温暖化によって発芽や開花時期も早まっている。

 試験場は農業・食品産業技術総合研究機構(本部・茨城県)と共同で浮き皮の対策を研究。成長や発育をコントロールする植物成長調整剤を使って浮き皮になるのを軽減させる対策マニュアルを作った。

 試験場の中地克之栽培部長は「有田地方でも特に沿岸部を中心に気温が高くなり、春先の適度に雨が欲しい時季に降雨量が少ないなど、昔と環境条件が変わり、木も傷みやすい傾向が出ている」という。

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