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キノコについて考察 熊楠の書簡、記念館に寄贈

1930(昭和5)年1月に南方熊楠が出した書簡。南方熊楠記念館は18日から展示する=和歌山県白浜町で
1930(昭和5)年1月に南方熊楠が出した書簡。南方熊楠記念館は18日から展示する=和歌山県白浜町で
 和歌山県白浜町の南方熊楠記念館は、熊楠(1867~1941)が田辺市上秋津の男性に宛てて1930(昭和5)年1月に出した書簡を寄贈されたと発表した。キノコについて私見を書き、イラストも付けている興味深い内容という。記念館で18日から展示する。


 書簡(縦18センチ、横53センチ)は同年1月29日付で、キンカンを栽培していた田中房吉氏に熊楠が出した1通。田中氏の孫に当たる八郎氏(故人)の遺品整理で、遺族が見つけた。

 田中氏は、キンカンの枯れた幹に発生したキノコを、熊楠と面識がある医師を通じて熊楠に渡していた。熊楠の日記から、同年1月13日の出来事だったことが分かった。

 熊楠は書簡で、キノコについて、キシラリア属の種だと説明。「新種かもしれない」という見方を示し、自身が才能を認めていた岐阜県出身の菌類学者・原摂祐へ送りたい旨を記している。最後には、キノコを受け取ってから返事をするまでに約2週間かかったことをわびる文もある。

 記念館の三村宜敬学芸員は「初めてやりとりする相手に対し、丁寧に書いている印象。一般の方に対して熊楠流の『講義』にもなっているのが面白い」と評価している。

 展示は来年3月ごろまで続ける予定。記念館では「他にも熊楠から送られた書簡が眠っている民家があるかもしれない」として、見つかった場合は知らせてほしいと呼びかけている。

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