和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

獅子舞稽古し伝統守る コロナ禍の河内祭

稽古に励む古座青年会のメンバー(和歌山県串本町古座で)
稽古に励む古座青年会のメンバー(和歌山県串本町古座で)
獅子頭を持って稽古をする芳流館互盟社のメンバー(和歌山県古座川町高池で)
獅子頭を持って稽古をする芳流館互盟社のメンバー(和歌山県古座川町高池で)
 和歌山県串本町と古座川町を流れる古座川の下流域で、毎年7月下旬に営まれる国重要無形民俗文化財「河内祭(こうちまつり)」がコロナ禍のために3年連続で神事のみとなる中、伝統を守りたいと、地域住民が獅子舞の稽古に汗を流している。コロナ禍の状況にもよるが、披露することも計画。関係者は「少しずつ元に戻っていければ」と話している。


■古座青年会 串本町

 串本町の古座青年会(西田有希会長)は、同町古座にある古座青年会館で6月24日から、3年ぶりとなる稽古を始めた。本来であればこの時期、日曜以外は毎晩稽古をしているが、今年は金曜と土曜の週2回。入り口で検温をしたり、手指消毒をしたりといった感染予防に努めながら取り組んでいる。

 初日には10人ほどが参加。太鼓や笛の音に合わせ、さっそく「幣の舞」や「乱獅子」といった曲を稽古。25歳ぐらいから獅子舞を続けているという芝﨑晴也さん(43)は「しんどいが、意外と体は覚えていると感じるし楽しい。心に体が追い付けるように頑張りたい」と笑顔を見せ、玉川純次さん(43)も「今年は以前とは違う形だが、ちょっとずつでも元に戻っていくための第一歩になればと思う」と話した。

 西田会長(45)によると、稽古は22日までの予定で、コロナ禍などの状況を見ながらの判断になるが、河内祭の本宮の24日に河内神社で営まれる大前ノ儀の後に獅子舞を奉納するほか、地下まわしも計画。「これ以上空くと『ようせんよ』ということになりかねない。手探りの部分が大きいが、状況を見ながら、できることからやっていきたい」と話していた。


■芳流館互盟社 古座川町

 古座川町高池下部地区の青年会「芳流館互盟社」(瀧本功社長)も6月29日から週2回の稽古を始めた。

 互盟社では河内祭が神事のみとなる中で昨年から自主的な稽古に励んでおり、今年も水曜と金曜の夜、地区にある木造の洋館に社員らが集まって稽古。コロナ禍の状況次第だが22日まで稽古を続け、23日には互盟社として地区内にある町津波避難総合センターの駐車場で獅子舞を披露することや、伝馬船を運航する行事を計画しているという。

 初日の稽古には十数人が参加し、山崎博史さん(53)は3年ぶりの獅子舞に挑戦。「忘れているところもあったし、足もがたがただが、久しぶりに皆と集まってわいわいできるのはうれしい。今年は披露する場もあるので、それを目指して頑張っていきたい」と意気込んだ。

 瀧本社長(43)は「伝統のある獅子舞を皆で力を合わせて守っていきたい。今年は少しでも夏祭りの雰囲気を地域の方に楽しんでいただければ」と話していた。

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