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森林譲与税、半分超が基金へ 和歌山県「市町村は活用を」

和歌山県田辺・西牟婁の森林環境譲与税の活用状況
和歌山県田辺・西牟婁の森林環境譲与税の活用状況
 国が地方自治体に配る森林環境譲与税について、和歌山県が「積極的な活用」を市町村に促している。2021年度までの配分額のうち、半分超が使われずに各市町村の基金へ積み立てられているためだ。

■市町村「これから」

 24年度からは、原資として1人当たり年間千円が個人住民税に上乗せして徴収されることになっている。「あまり使われていないと、制度の在り方自体が問われる恐れもある」。県が活用を促すのは、そんな考えがあるからだ。

 基金に回る割合が多い現状を踏まえ、自民党のプロジェクトチームは3日、森林環境譲与税の山間地域への配分強化を求める提言を総務相に提出した。相談窓口の設置や好事例の周知など、積極的な利用を促す体制づくりも訴えている。

 森林環境譲与税の配分は、国民からの徴収開始に先立ち、別の財源を充てる形で19年度に始まった。人口や森林面積などから金額が決まり、市町村は、森林整備や人材育成、木材の利用促進に関する事業に使える。災害を防ぐという観点などを踏まえ、20年度以降は配分額が増えた。

 県の資料によると、19~21年度に県内の市町村へ配布された総額は約20億2千万円。このうち約10億3千万円が基金に回っていた。

 田辺・西牟婁の1市3町に紀伊民報が19、20年度の決算と21年度の決算見込みを尋ねたところ、3年間の配布総額は7億6306万円で、64%に当たる4億8878万円を基金へ積んでいた。

 これについて、県や田辺・西牟婁の市町は「国からの配分が始まったばかりで、各種事業の展開へ態勢を整えようとしている段階というのが影響している」と説明する。市町は19年度以降、林地台帳の情報を整理したり、森林所有者の意向を調査したりして、今後の施策につなげる準備をしてきた。

■田辺市は基金取り崩し

 配分額が全国で4番目に多い田辺市は22年度から、積み立てていた森林環境譲与税を取り崩す。担当者は「21年度末に策定した森づくり構想に基づく施策を展開していく時期に入った」と話す。

 22年度の市への配分額は約2億9千万円。これまでに積み立てた約3億4100万円のうち、7400万円を取り崩し、各種事業へ充てることにしている。

 森林保全のための税制は、1991年に本宮町(当時)の中山喜弘町長が提唱した。森林面積の多い自治体の賛同もあって政策化された。

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