和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年11月10日(日)

イベント詳細

特別展「聖地巡礼―熊野と高野」の第3期「人・道・祈り―紀伊路・伊勢路・大辺路をゆく」

開催日時 2024年10月12日(土) 〜11月24日(日)
開催場所 県立博物館
和歌山市吹上1丁目
イベント詳細  博物館で、ぶらり紀伊半島の「霊場めぐり」―。和歌山市吹上1丁目の県立博物館は10月12日から、特別展「聖地巡礼―熊野と高野」の第3期「人・道・祈り―紀伊路・伊勢路・大辺路をゆく」を開く。熊野三山や高野山などの霊場をつなぐ「道」を取り上げ、それらの沿道にある寺社・霊場とその名宝の数々を紹介する。11月24日まで。

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録20周年を記念した特別展で、来年3月9日までの展示期間を全5期に分け、熊野・高野の名宝を各期テーマを変えて展示する。第3期の展示資料は重要文化財(重文)14点、県指定文化財5点、三重県指定文化財5点。会期の前期(10月12日~11月4日)と後期(11月6~24日)で一部作品を展示替えする。
 熊野三山や高野山などの霊場以外にも、熊野参詣道の紀伊路・中辺路沿いには霊場がひしめいていた。熊野の御子神を祭ったとされる王子社をはじめ、西国三十三所霊場第2番札所の紀三井寺(和歌山市)のほか、地蔵峰寺(海南市)、得生寺(有田市)、興国寺(由良町)、道成寺(日高川町)、闘雞神社(田辺市)などさまざまな寺社がある。室町時代以降の旅人たちは、これらの寺社に立ち寄りながら熊野参詣や巡礼をしていた。今回の特別展では、昔の旅人たちも見たであろう、寺社の名宝の数々を紹介する。
 大辺路は紀伊半島西部の海岸沿いに、田辺から那智山・新宮ヘと向かう道。勾配もある厳しい道ではあるものの、海岸を見ながら行く風光明媚(めいび)な道で、江戸時代に大辺路を旅した人は「無双の絶景」とも評している。熊野の自然に触れ、さまざまな美術作品も生み出された。紀南の寺院に数多く残る長沢芦雪の作品などを交え、大辺路の雄大な自然と風景、沿道の信仰の様相についても紹介する。
 室町時代以降は、庶民による伊勢参宮と西国巡礼が盛んになった。伊勢参宮後に熊野へ向かう道として、伊勢路は本格的に利用されるようになった。伊勢路の歴史とともに、伊勢参宮・西国三十三所巡礼・熊野参詣など、複雑に絡み合った信仰と参詣の文化を紹介する。「伊勢路を知ることで、紀伊路や中辺路、大辺路の性格、魅力についても改めて発見していただけたら」と同館。
 展示資料は重文「道成寺縁起 下巻」(道成寺蔵、後期展示、前期は上巻を展示)、三重県指定文化財「薬師如来坐像」(真巌寺蔵)、重文「群猿図屏風」の右隻と左隻(草堂寺蔵、右隻は前期展示、長沢芦雪筆の左隻は後期展示)など。
 関連イベントとして、10月12日午後1時半~3時、博物館隣の県立近代美術館2階ホールで記念講演会を開く。塚本明・三重大学教授が「江戸時代の熊野街道と貧しき旅人たち―伊勢路沿いの古文書史料から」と題して話す。同じく2階ホールで10月27日と11月9日の午後1時半~3時、博物館講座を開く。10月が袴田舞さん(県立博物館学芸員)による「長沢芦雪と紀南の寺院」、11月が佐藤顕さん(同)による「江戸時代の熊野参詣と紀伊路」。講演会、講座ともに参加無料、申し込み不要。
 開館時間は午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜休館(ただし、10月14日と11月4日は開館し、それぞれ翌日休館)。入館料は一般千円、大学生800円、高校生以下と65歳以上、障害者、県内に在学中の外国人留学生は無料。