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2024年12月24日(火)

12月からカッパークで開催へ 田辺の名物「弁慶市」会場変更

12月から弁慶市を開催するカッパーク(和歌山県田辺市扇ケ浜で)
12月から弁慶市を開催するカッパーク(和歌山県田辺市扇ケ浜で)
70店ほどが出店し、にぎわっていた当時の弁慶市(1998年、田辺市東陽)=提供
70店ほどが出店し、にぎわっていた当時の弁慶市(1998年、田辺市東陽)=提供
 和歌山県田辺市東陽の闘雞神社馬場で毎月第3日曜に開催している朝市「弁慶市」が、12月から同市扇ケ浜のカッパークに場所を移す。15日が闘雞神社で最後の開催となる。実行委員会は「34年間も続けてきた市。盛り上がりをつくって、次へ進みたい」と多くの来場を呼び掛けている。

 弁慶市は、地場産品を売れ筋商品に育てようと1986年10月に始めた。15日の開催で421回目。限定の割引商品や小売店を持たない工場の直売品が並び、地元の常連客が多い。最近は買ったばかりの菓子や弁当を食べながらコーヒーを楽しむ「青空モーニング」が人気だという。

 ただ、出店数は減少傾向。ピークの90年代後半には70店を超えていたが、2010年代には40~50店、最近5年は20~30店ほどで推移している。課題の一つが雨天時の対応。雨をしのぐ場所がないため、出店のキャンセルが出たり、客が減ったりしていた。

 カッパークでは、雨天の場合に新武道館1階のピロティ(吹き放ち)が使用できる。搬入搬出時の車両乗り入れもできるため、設営の負担も軽減する。足元はタイル舗装で汚れの心配もない。来客が利用できる駐車場も広くなる。

 毎回出店しているかまぼこ製造販売業「マルサ」(田辺市福路町)の左海伸和さん(51)は「天候の心配がなくなり、新しい客層を呼び込むきっかけにもなる」と移転を歓迎する。一方で「闘雞神社には歩いて訪れる高齢の常連客も多かった。遠くなっても足を運んでもらえるか心配」という。

 実行委は「闘雞神社という世界遺産の地で、木漏れ日の中で開く朝市は魅力的だったが、海に近い新会場も違った魅力がある。地元はもちろん、観光客にも来てもらえるようにしたい」と話している。

■15日の弁慶市

 闘雞神社馬場で最後となる弁慶市は15日午前8時~11時半に開催する。弁当や菓子、雑貨などを販売する約30店が出店予定。神島高校の生徒も梅焼き鳥を売る。問い合わせは実行委事務局の南紀みらい(0739・25・8230)へ。


 【弁慶市の由来】 田辺では江戸時代の中頃、現在の片町で六斉市という市が開かれていた。当時、付近には弁慶松、弁慶産湯の井戸、弁慶の腰掛け石などがあったことから、通称「弁慶市」と呼ばれていたという。その言い伝えを元に現代に再現した。