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2024年12月19日(木)

地鶏のブランド化目指す 龍神村で新品種、卵も商品化へ

チャボより一回り小さい新品種の鶏(田辺市龍神村柳瀬で)
チャボより一回り小さい新品種の鶏(田辺市龍神村柳瀬で)
卵(右)も一般的な鶏の卵(左)より小さめ
卵(右)も一般的な鶏の卵(左)より小さめ
 江戸時代から飼育されていたといわれる、田辺市龍神村の固有品種「龍神地鶏」を他の品種と掛け合わせた新たな地鶏のブランド化に向け、龍神村で取り組みが進められている。鶏肉だけでなく、全国でも珍しい地鶏の卵も商品化する考え。


 龍神地鶏は一般的な鶏よりも一回り小さいチャボほどの大きさ。県養鶏研究所(日高川町)が2012年から保護研究を始め、在来鶏である「ロードアイランドレッド」を掛け合わせて新品種を開発した。鶏より小さめで臆病な性質という。

 龍神村ではこれを受け今年2月から、柳瀬の養鶏場「とりとんファーム」で、他の採卵用や食肉用の鶏約10品種とともに飼育している。新品種は約50羽おり、同養鶏場を営む石﨑源太郎さん(46)と妻の亜矢子さん(36)が他の品種と同様、遺伝子組み換え作物でない飼料を自前で配合したり、谷水をやったりして平飼いで育てている。
組織で実現へ


 龍神村でまちづくりを進めている「龍の里づくり委員会」が、とりとんファームや県養鶏研究所と連携し、将来的に新品種を龍神村の特産品としてブランド化することを目指している。

 委員会事務局によると、具体的な計画は今後、役員やメンバーも交えて話し合っていく。委員会で生まれたアイデアを実践するために委員会役員や賛同者が出資して設立した株式会社「龍神村」の利益の一つの柱にする考え。

 ブランド化については、国内で流通している地鶏のほとんどが食肉用であるため、卵を商品化することでアピール効果があると考えている。また、幻の品種として研究所が保護してきた龍神地鶏から生まれた鶏であることも、宣伝効果が期待できるという。

 とりとんファームでは、来年2月まで採卵できる数や卵の質の調査をしているが、並行して、石﨑さんの知人に販売するようになった。卵は、鶏卵のSサイズよりさらに小さめ。黄身の割合が比較的大きいこともあり、食べた人からは「こくを感じる」という声が多く寄せられている。

 食肉用としては、雄の肉を地元の飲食店でテストしたところ、高評価を得られたといい、食肉用としても期待が大きい。

 自家栽培の小麦やトウモロコシを使った餌作りなど、飼育環境の向上も目指しているという石﨑さんは「ブランド化を目指す上で、養鶏家だけでは販路開拓やPRに関して心配な面もあるが、まちづくり団体や研究所と連携できることはとても心強く感じる。龍神村の地鶏をつくることは夢の一つで、参加者の一人として力を入れていきたい」と話している。