和歌山県南紀のニュース/AGARA 紀伊民報

2024年12月16日(月)

感染拡大で飲食店再び苦境 戻りかけた客足止まる

平日ということもあり人通りの少ない味光路(19日午後7時ごろ、和歌山県田辺市湊で)
平日ということもあり人通りの少ない味光路(19日午後7時ごろ、和歌山県田辺市湊で)
 新型コロナウイルスの感染拡大で、和歌山県紀南地方の飲食店が再び苦境に陥っている。田辺中心市街地の飲食店ではクラスター(感染者集団)が発生。仁坂吉伸知事は田辺、白浜、上富田の3市町の住民に対し、カラオケや夜遅くの飲食店利用の自粛を求めている。


 田辺保健所管内では8月以降、19日までに23人の感染が確認された。客足が戻りつつあった県内有数の飲食街である田辺市の「味光路」でも16日ごろから急激に客が減少した。

 味光路のある居酒屋の店主は「盆前は例年の6割ほど客が戻っていた。それが田辺管内で再び感染が確認され、地元客の予約が入らなくなった」とため息をつく。「県外客は断っていない。出張の際に訪れてくれる常連さんも多く、すべて県外客だった日もある。感染者は出したくないが経営も厳しい。苦しい判断の日々。こんな状態がいつまで続くのか」と話した。

 味光路近くの居酒屋の店主は「席数を減らして営業しているが、客はテークアウト(持ち帰り)が主流になった。春から取り組んでおいてよかった」と苦しいながらも、何とかやり繰りしている。「感染を出さないことが第一。消毒や換気はもちろん、今後は他の客と接触がない個室を新たに設ける」と話した。

 他の飲食店もカウンターに間仕切りを設けたり、店内を改装して個室を増やしたり、抗ウイルス効果があるとされる液体で店内をコーティングしたり、さまざまな対策をしながら、営業している。複数の飲食店が連携して、テークアウトのスタンプラリーを企画している事例もある。

 感染者が出た飲食店では、来店者に検査を呼び掛け、感染拡大を防止するため店名を公表している例もある。

 同業者の間では「明日はわが身と感じている。出さないことが第一だが、もし、自分の店で感染者が出た場合も、公表すべきだと考えている」「経営者自身がSNS(会員制交流サイト)で謝罪と検査の呼び掛けをしているのを見た。私の店も対策をして営業している。感染拡大防止には客側の意識も大切だと分かってほしい」などの声が上がっている。

■駅前駐車場も利用激減

 田辺市が管理するJR紀伊田辺駅前の駐車場は、今春以降利用が激減している。4~7月の利用は2万7933台で、前年同期より3割以上減少した。なかでも4、5月は約5割落ち込んだ。